2018年9月7日、経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」(以下、DX研究会と表記)から、中間取りまとめの位置づけでレポートが発表されました。
※経済産業省 DX研究会
http://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/index.html
※経済産業省 DXレポート
http://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html
DXレポートの中では、DX実現へ向けた課題への対応策として、次の5点を挙げていました。
その過程での議論(公開されている議事要旨)から、業務プロセスやデータに関わるポイントを中心にキーワードをピックアップしながら、各対応策について考えてみます。
まず1回目は「ITシステムの見える化」について考えます。
DX研究会の議論の中では、「レガシーシステムのアセスメント・見える化が重要/RFPの段階で依頼されても遅い」「システムの現状把握の際に、レガシー度を他社と比較する尺度がぶれないように統一することが必要」というような指摘がありました。
弊社では「データHUB」を構築することで、企業で共有すべきデータ構造やシステム間I/Fを明確にし、エンティテイや属性の意味もそこで一元管理すべきと提唱しております。データHUB構築の投資対効果を具体的に説明するためには、まず現状を可視化する必要があります。
それでは、何を以ってITシステムが見えたと判断できるのでしょうか?
ITシステムに関与する人は、何を以ってシステムが完成したと判断するのでしょうか?
…作る側の視点に立つと何かとややこしいので、まずITシステムを使う側の視点から、システムを見える化するための指標について考えてみます。
デバイス(スマホ、タブレット、PC)の違いはさて置き、システムを使う人の目に触れるのは『画面』であり、画面を通して『データ』を情報として受け取り、アクションを実行する…この繰り返しによって、システムの利用者は価値(例えば、欲しいものを購入し家まで配送してもらう)を得ています。企業情報システムという観点に立つと、複数のITシステムが連携したり、工作機械からセンサーを介してデータを受け取ったりします。これらを画面と合わせると、『I/O』と呼べるかと思います。つまり、利用者も分かる形でITシステムを見える化するための指標は、以下のように考えられます。
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次にITシステムを作る側の視点に立って考えます。
I/O設計の中で見えてきたデータ構造や項目をそのままTABLEとして実装するかどうかは、色々な要素を鑑みて判断する事になります。例えば、正規化や導出項目の扱いを含む、実装の難易度や性能面での考慮、或いは旧システムからの移行の実現可能性…等々があります。
I/Oとデータの構造に乖離が発生する場合には、それをロジックで補うことになります。
乖離が発生するのは、次のような場合です。
①正規化をする/導出項目を実装しない
②識別子が同じデータストアを、登録タイミング/登録者の違いを無視して1つにまとめてしまう
③連携する他システムのデータ構造と、自システムのデータ構造が合っていない
これらロジックの複雑さを表すためには、先程の指標に「3.機能」を追加する必要があります。
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※1と2は「箱」「項目」それぞれの数をカウントすることで、3を把握するための基礎になるはずです。(I/Oとデータストアの違いが大きければ、それをロジックで補う事になるはずです。)
これらの指標をシステム別にカウントし、それを集計することで、企業情報システム全体を同じ指標で見えるようになり、企業間の比較も容易になると考えます。プラットフォームの違いは、それに対応できる技術者をどう確保するかの問題として、割り切りが必要であると考えます。