今回はシステム構築におけるコスト・リスク低減策について考えてみたいと思います。
DX研究会の議論の中では以下のような指摘があったようです。
以前、筆者がデータHUB導入プロジェクトに参画した際には、主に情報システム部門におけるコスト削減を効果として謳いました。それは、I/F開発工数の削減と保守運用効率化に大別できます。
【開発工数の削減】
似たようなデータが様々なシステムに散在しており、そのことにすら気づいてない場合には、各システムが独自にI/Fを構築します。それに対して、データHUBに基幹業務を写像したデータがある場合には、当然データHUBとのI/Fを構築することになります。(データHUBの信頼度を向上させるためには地道な活動が必要ですが、ここでは信頼に足るデータHUBができた後の話をしています。)
データHUB導入は、①企業情報システム総I/F本数の削減と、②単位当たりI/F開発工数の削減に繋がります。(①はスパゲッティ状態を解消することで得られる効果であり、数学の考え方で説明すると、順列と組合せの違いに例えることができそうです。②はデータ構造や連携プラットフォームの統一による、習熟度向上効果を見込んでいます。)
【保守運用効率化】
販売管理システムのデータ構造が変更になる例で考えてみます。
データHUBが存在しない場合は、販売管理システムと連携するシステムの保守運用担当者(複数名)に向けて、「連携中のI/Fに影響がある場合には教えて下さい。」と同報メールを送信します。
「影響ありそうです。」というメールが返ってきたら、担当者との複数回の打合せ(仕様説明、回答を受ける等…)を影響のあるシステムの数分だけ行なう必要があります。
データの構造や意味を管理するリポジトリ構築済のデータHUBがあれば、販売管理システムのデータ構造変更に伴うI/F改修個所は即座に把握することができ、周辺システム担当者への連絡は「データ構造変更によって、発行(PUB)側のI/Fを修正します。購読(SUB)側ではxxxの対応をお願い致します。」と1回で済みそうです。
情報システム全体で月に5回のI/F改修があるとして、10年間システムを使い続けるとすると、600回(5回×12ヵ月×10年間)の改修が発生しますので、コミュニケーションコストの削減効果はバカになりません。
次に、データHUBと連携するDX推進のための新規システムを構築する場合の効果を考えてみます。事業部門の要求を実現する為には、要求そのものを実現する為のデータ設計はさることながら、その要求を実現する為に基幹業務と連携するためのI/F設計も必要になります。企業の標準データ構造が実装されたデータHUBが存在することによって、データ設計は事実上不要となり、それを基にして事業部門の要求をアジャイルに具現化することによって、DX推進上のリスクを極小化することができるはずです。
このようにデータHUB導入には、主に情報システム部門が担当するSoR(記録の為のシステム)と、事業部門が主幹するSoE(ユーザーと運営企業を繋げる為のシステム)双方へのコスト・リスク低減効果があります。
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