『ルパン三世』に登場する石川五右衛門の愛刀・斬鉄剣はその名の通り鉄の金庫や戦車さえも一刀両断する伝説の名刀です。ところが、この最強の刀で唯一斬れないものがあります。それは“こんにゃく”です。ちょっと驚きですよね。柔らかすぎるからとか、弾力が吸収してしまうからとか色々と想像はしますが、要は素晴らしいものにも弱点はあるということだと思います。
AI、クラウドなどは現代の斬鉄剣と言えるような強力なテクノロジーです。大量のデータを処理し、複雑な業務を自動化し、これまで不可能だった分析や予測を可能にします。じゃあ「最新技術さえ導入すればすべての課題は解決する」のかというとそうではありません。
例えば、曖昧な業務ルールや責任の所在・目的が共有されていないプロジェクトにおいてはいくら高性能なテクノロジーが導入されても、非効率をそのままデジタル化するだけになってしまう恐れがあります。利用する人のインサイトをつかんでおかないと、不安や経験則の欠如をぬぐい切れず、テクノロジーの良さを引き出せずにいることもあります。
つまり、DXにおける「こんにゃく」とは、人の感情、組織文化、目的の曖昧さ、そして変化への抵抗なのかもしれません。
多くのDXプロジェクトが失敗する理由は、斬鉄剣を振るうことばかりに意識が向き、斬鉄剣を振るう剣士を育てるばかりで、「何を斬るべきか」を見失うことにあります。一方、石川五右衛門は相手を見極め、ここぞというタイミングで刀を抜いています。
成功している企業は、五右衛門のように最初から刀を抜きません。まず現場の声を聞き、業務を観察し、課題を言語化します。その上で、「この課題は技術で解決できるものか」「制度や運用を変えるべきか」「人材育成が先か」を見極めます。斬鉄剣を振るうのは、その後です。
DXとは、デジタルを導入することではなく、変革を実現することです。だからこそ、DXを推進するリーダーには、最新技術への知識だけでなく、「これは技術で解決すべき課題なのか」という問いを立て続ける姿勢やデザイン力が求められると思います。
目的を整理し、そこで汗を流す人や組織のインサイトを踏まえ、未来の姿を共有することで未来への道筋を示すことが大切なのです。
また、五右衛門自身の精神状態や判断力が剣さばきに影響を及ぼす場合があります。刀だけに頼れない時、彼はルパンや次元などの仲間を頼る選択をします。すべての局面を一人で乗り切れるほど人もテクノロジーも万能ではないのです。
「またつまらぬものを斬ってしまった」
そんなセリフを吐かなくてよいように、チームでしっかりとデザインしていきましょう。
データ総研では来る8月20日に「ビジネスにデザインを取り入れよう」というセミナーを開催いたします。一緒に考えてみませんか。
関係者が抱える課題を捉え、データを活用しながら、アイデアを継続的な成果につなげる方法をお伝えします。データを保有するだけでなく、業務の中で継続的に使われ、成果を生み出す状態へ。データ活用を一部の担当者による取り組みではなく、組織の仕組みとして根付かせたいDX・データマネジメント推進者におすすめの内容です