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概念データモデルは、なぜ組織を動かすのか?〜書籍発売に寄せて〜

作成者: 伊藤 洋一|2025/12/02 1:46:35

 概念データモデルの本が完成しました。
この本の執筆にあたっての想いと背景を少しだけお話しします。
 
長い旅のような時間でしたが、書き終えてみると改めて思うのは、
「概念データモデルは技術でありながら、人の営みに深く関わるものだ」ということです。

本のカバーには “THE ART OF DATA MODELING” と入れました。
ここでいう ART は、職人技やテクニックのことではありません。
人が想像を共有し、新しい意味を生み出していく、あの創造のプロセスそのものです。

概念データモデルを囲んで対話すると、単なる業務ルールの確認だけでなく、

  • もっと良い業務に変えられるのでは
  • 経営戦略とつなげられるのでは
  • 顧客価値を同時に高められるのでは

 

そんな発想が、自然とみんなの間に芽生えていきます。
私は現場でその瞬間が生まれるのを、これまで何度も見てきました。

サイエンスで土台を共有し、
エンジニアリングで型を整えるからこそ、
人の想像力が自由に働ける余白ができる。

その余白が、組織を前へ動かすのだと思っています。

受け継いだ思想と、今の時代への接続

私自身、データ総研の創業者でありTHデータモデルの生みの親である椿正明博士の晩年、SPFチャートやIPFや入出力のパターン、加工データの分類などの研究をご一緒し、博士の「標準化」のやり方を間近で見てきました。
また、博士は、生涯をかけて「情報システムを工学として最高位まで確立する」ことを探求していました。
その姿勢は、私にとっても揺らがない価値観のひとつになっています。
 
この本では、博士の思想をただ継承するだけではなく、
「どう現場で活かすか」という視点で、現代版へと接続しました。

  • 意味の深掘り
  • 5分類10要素の発見法
  • 内包構造と関係構造の整理
  • データ活用時代に合わせた再構築


これらは、以前のPLAN-DBには明示されていなかったものです。
私自身が現場で何百回と合意形成に立ち会うなかで、
必ず必要になることがわかったため、体系化して盛り込みました。

この本が、小さな変化を生むきっかけになれたら

私が願うのは大げさなことではありません。
 
この本が、
みなさまの組織やプロジェクトに、小さな変化の種をひとつでも置けたなら。
 
誰かの理解の速度を少しだけ速くし、
会話を円滑にし、
合意形成をスムーズにし、
データを「意味から扱う文化」を育てる一助になれたなら。
 
それだけで、この本を書いた価値があると思っています。

 

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『システム設計・データ活用のためのデータモデル入門』

書籍『システム設計・データ活用のためのデータモデル入門』の発売に伴い、著者であるデータ総研コンサルタントの伊藤洋一が、書籍の内容紹介とともに、概念データモデルの本質を解説いたします。