“「分かる」から「役立つ」”データ活用のために
    データマネジメントとデータ活用の両輪で、ルールと体制を整備

    現場へのヒアリングをベースに、業務を紐解きながら進めることで、「地に足のついた」データマネジメントを目指す

    シチズン時計株式会社

    業種

    キーワード

    シチズン時計様事例01

    1918年に創業したシチズン時計は、時計作りを原点に、小型精密技術を活かして工作機械、デバイス事業など新たな挑戦を続けてきました。近年は顧客にさらなる価値を提供すべくDXにも注力しており、経営企画部DX推進室を中心に取り組みを進めてきました。しかし、データ基盤やBIツールなどは整備したものの、ビジネス価値に貢献できるようなデータ活用には至りません。進め方を模索するなかでたどり着いたのが「データマネジメント」でした。データ総研の支援を受け、データマネジメントとデータ活用を両輪で進める同社の取り組みについて、経営企画部 DX推進室 室長 山﨑 真一様、岩井 十郎様、鈴木 智博様、柴 登志洋様、事業企画センター デジタルイノベーション部データ戦略課 武笠 智昭様と、コンサルティングを担当したデータ総研エグゼクティブシニアコンサルタントの伊藤 洋一、チーフコンサルタントの仲程 隆顕、コンサルタントの阿部 笑子に話を聞きました。

    課題

    • DX推進の一環としてデータ活用を進めたが、ビジネス価値に貢献する活用までできていない

    • ルールや体制づくりを進めようにも、自分たちの考えが正しいのか自信が持てない

    • とくに宣伝データに基づく広告宣伝費の効果分析に苦戦している状況が続いていた

    解決策

    • プロのアドバイスを受け、体系立てた知識のもとで着実にプロジェクトを推進

    • 必要なメタデータが明確になり、データカタログのリリースまで実現

    • 宣伝部へのインタビューを通じて課題を整理し、現場と経営とで認識を共有

    • データマネジメントとデータ活用を両輪で進めることで、地に足のついたルール・体制を整備

    テキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入る

    テキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入るテキスト入る

    BIツールを導入しても、期待するようなデータ活用に届かない

    ——シチズン時計におけるDXの取り組みについてお聞かせください。

    山﨑様:
    長期ビジョンとしてエンドユーザへの価値提供を掲げつつ、DX推進室としても自社の売上・利益に貢献できるように取り組んでいます。方針として大きくは3つの柱「業務プロセスの変革による高収益体質への転換」「製品・サービスの変革による新たなユーザ価値の創出」「企業風土の変革」があり、これらに沿って各種施策を進めています。そしてその中の1つがデータ活用による意思決定の高度化です。

    シチズン時計山﨑様
    シチズン時計株式会社 経営企画部DX推進室 室長 山﨑 真一様

    ——データ活用ではどのような課題があったのでしょうか?

    山﨑様:
    世の中でもデータ活用の重要性は叫ばれており、社内でも基幹システムからデータを集める環境などを整備してきました。ただ、ExcelからBIツールに置き換わった程度で、ビジネス価値に貢献できるような使い方には届かず、一歩進めた活用を目指すと言ってもどう進めればよいのかわからずに行き詰まっていました。

    柴様:
    鈴木と私はもともと情報システム部に所属して、データ基盤の構築を担当しており、データ活用推進の主幹がDX推進室に移ったタイミングで異動しました。

    2022年ごろ、オンプレミスのデータ基盤をクラウド上のDWHに再構築しており、基盤とマスターデータは整備していました。BIツールも導入し、部門単位でのデータ活用は進んだのですが、部門を横断したデータ活用やトップダウンでの意思決定となると、データオーナーがだれで、どうデータに責任を持つのかが明確になっていないことがネックになりました。活用を広めるときのルールやデータの役割なども整備できておらず、今後より多くのデータを扱うことを考えると、このままでは難しいと感じていました。

    鍵はデータマネジメント。ルール・組織づくりに強いデータ総研に

    ——データ総研に相談したきっかけを伺えますか?

    山﨑様:
    データ活用についていろいろ調べるなかで、「データマネジメント」について知り、これこそが自分たちに必要なのではと考えました。ただ自分たちでDMBOKなどを調べても、よくわかりません。まずはセミナーや研修を受けた方がよいのではということになり、探すなかでデータ総研を知りました。長年データマネジメントに取り組んでいて、実績が豊富ということも決め手となり、2023年4月に「データガバナンス組織づくり研修」をお願いしたのが最初です。

    この研修とは別に、以前から基盤構築等をお願いしていたITベンダにアセスメントなどをお願いしていました。当社の環境や状況を熟知しているベンダならばスムーズではと思ったのですが、いざ始めると、それだけではうまく進まず……。ルールや組織づくりの領域はデータ総研の方が詳しそうだと、データマネジメント全般の支援も依頼することになりました。

    伊藤:
    IT部門が主導してデータマネジメントを進めると、どうしても基盤やITの領域にフォーカスが寄ってしまう傾向があります。「組織をどう作るか」までカバーするのがデータ総研の強みであり、その点を評価いただいたのではないでしょうか。

    データ総研伊藤-1
    株式会社データ総研 コンサルティンググループ エグゼクティブシニアコンサルタント 伊藤 洋一

    データマネジメントだけでなく、データ活用と両輪で進める

    ——それで、データ総研とデータマネジメントに取り組むことになったのですね。

    山﨑様:
    最初、経営陣にデータマネジメントの活動について提案したときは、「この活動はルールを作ったり、体制を決めたりするのが主体であり、直接ビジネス価値が生まれることはない」と説明しました。ただ、経営観点では価値を生むことも重要であり、データ活用も両輪で進めてほしいと要望がありました。そこで、データマネジメントとデータ活用を並行して進めることになりました。

    岩井様:
    データ活用を進めるにあたって、最初のターゲットに決めたのが宣伝部です。従前から売上に対して広告宣伝費の割合を決めていましたが、それが多過ぎるのか、少な過ぎるのか、きちんと分析していませんでした。同じ割合で継続して良いのか悪いのかも判断できず、経営陣としても問題視していました。

    シチズン時計岩井様
    シチズン時計株式会社 経営企画部DX推進室 岩井 十郎様

    武笠様:
    宣伝部は、私が所属する事業企画センターに含まれるのですが、我々としても宣伝データには課題を感じていました。宣伝データは在庫や売上のように、いくつ商品があって、いくつ売れたなど明確な数字があるものではありません。宣伝効果がどれだけ波及したかは見えにくく、うまくデータを扱えていなかったのです。

    伊藤:
    当初、宣伝部からスタートするというお話を伺い、その意図を深く理解する必要があると感じました。製造業の場合、工場のセンサーデータや、デジタルツインのようなシミュレーションデータのマネジメントから着手するのが定石だと考えていたからです。

    ただ、進めるうちにシチズン時計様のようなB to B to Cのビジネスでは宣伝の重要度が高いことが見えてきました。また、宣伝データには、CMの動画など非構造化データも含まれ、多様なデータを扱うことになります。経営からのミッションと現場の課題感がマッチした良い選択だったと感じています。

    宣伝部へのインタビューからスタートすることで、認識を共有

    ——具体的にどうプロジェクトを進めていったのですか?

    伊藤:
    宣伝部の担当者へのインタビューから宣伝業務のフローを紐解き、課題を整理するフェーズと、データマネジメントの基本方針やルールを作成するフェーズの2段階に分けて進めました。最初に宣伝部のインタビューをおこなったことで、「現場の課題がここにある」ことを全員で共有できました。迷ったときに立ち戻る、プロジェクト内の共通言語のようになりましたし、やって良かったと思います。

    柴様:
    データマネジメントについての提案でも、データ総研は組織に入り込んで支援する点が魅力的でした。ルール作りに主眼を置いたベンダもありましたが、それではルールの形骸化が懸念されます。きちんと現場の話を聞いた上で、データ活用とデータマネジメントを両輪で進められるのはメリットが大きかったと思います。

    岩井様:
    インタビューにはかなり時間をかけましたが、やはりそれがよかったですね。私たちのような同じ社内の人間が「どんな業務をしているか」「どんな業務フローか」「ビジネス課題は何か」「データ活用に関する課題は何か」といった内容を改めて聞くのは難しく、外部の視点が入ったことで、現状の課題をきちんと理解できました。

    ITから経営まで、様々な立場のメンバーがそろった理想のチーム

    ——プロジェクトの体制についてはいかがでしょうか?

    伊藤:
    シチズン時計様のチーム構成は、とてつもなく素晴らしかったです。鈴木様・柴様のようにIT観点で基盤を理解している方がいて、武笠様は現場寄りのポジションですが、データサイエンティストです。さらに全体の調整や経営判断ができる山﨑様・岩井様がいます。他社を見ていると、IT寄りのメンバーだったり、データサイエンティストがいなかったり、ボトムアップはできても経営とのコネクションがなく頓挫してしまったりということが多く、ここまで揃っているケースはほとんどありません。

    武笠様が様々な分析軸からの意見を出し、それに対して岩井様が経営から見た意見を返す、と議論も活発に動きますし、それらを鈴木様・柴様がITでしっかり支えてくれている、というのは理想的でした。

    鈴木様:
    ミーティングで「こういうデータが必要」と言われて、データを揃えては議論して、ということを繰り返し、徐々にどんなデータが必要かを実感として得られるようになりました。これまでも必要なデータを揃えているつもりでしたが、漠然としたところがあり、今回の取り組みで体系立てて進められるようになってきたと感じています。

    シチズン時計様

    武笠様:
    「こういうデータがあるなら、この目的にはこういう形で可視化すると良いのではないか」と話していたら、翌週には仕上がっていて驚く、ということが何度もありました。同じ社内にいるのなら、前から相談していればよかったと後悔しているくらいです。インサイトや課題感に対するデータの切り出し方など、1つのテーブルでの議論をデータ総研がプロとして導いてくれる、全体としての関係性もすごくよかったと思います。

    阿部:
    コンサルタントとクライアントの立場で線を引くのではなく、私たちもチームの一員のように接していただきました。シチズン時計様はこちらの提案をお待ちいただいているだけでなく、積極的に要望も出していただき、一丸となって進めている雰囲気がありました。

    データ総研阿部
    株式会社データ総研 コンサルタント 阿部笑子

    データカタログのリリースまで、驚きのスピード感で進捗

    ——ほかにも印象的なことがあれば教えてください。

    柴様:
    2024年初めには、データカタログも公開できました。これまで「メタデータはこういうものがあれば良さそうだ」とぼんやり考えていたところが、今回のプロジェクトを通して「これでいいんだ」と明確になり、リリースまでこぎつけました。

    仲程:
    このスピード感は、本当にアジャイルの進め方が浸透しているのだと感じました。しかもこのメタデータ管理を、専用ツールではなくBIツールでやっている点は驚きでした。

    データ総研仲程
    データ総研 チーフコンサルタント 仲程 隆顕

    鈴木様:
    DWH構築時に、データ取り込みは自分たちでプログラムを開発したのですが、もともとメタデータを蓄積したいという考えはあったので、取り込むデータの入力区分などを識別できるようなプログラムを組み込んでいました。データ総研のアドバイスももらい、情報を再度整理、アップデートして、メタデータとして必要なものを自動で取り込めるように構築しています。

    柴様:
    ざっくりとですが、データをDBに取り込む段階で、メタデータの情報をログに出力することで、そのデータがどのシステムのどのようなデータかがわかるようにしています。それをBIツール側で取り込み、データカタログとして全社員に公開する形です。社員がデータに触れる機会が増えることを期待してこのような仕組みを考えました。

    伊藤:
    最初からそういう発想を持って作り込んでいたからこそ、実装できたものですが、これはある種の理想形だと思います。ITに詳しい人がいるから成立しているものであり、データ基盤の開発・運用担当者がデータマネジメントに参加する意義がここにもあると言えるでしょう。

    データ活用を本格化するベースは整った。これからの効果に期待

    ——ほかにも印象的なことがあれば教えてください。

    山﨑様:
    2年弱取り組んだ結果として、経営陣の理解を得られたことが大きく、宣伝データの分析などの活動にもつながっています。データ活用の本番はこれからですが、少しずつ歯車が動いてきたと感じるところがあります。

    岩井様:
    今はデータ活用でなにが必要なのかが見え、ルールのベースが整ってきたところです。2025年は今回決めたルールでの実践を進める予定です。データ総研は、ほかの企業での豊富な実績を踏まえた上で、業務インタビューを通して当社の現状に合ったルール作りをサポートしてくれたと思います。

    武笠様:
    今すでに具体的な効果が出ているわけではないのですが、効果の“種”は十分できた、という印象です。これまで自部門で施策のための分析をしても、どうしても小さいサイクルから出ることができませんでした。データ総研との取り組みを通して、データライフサイクルに基づく業務フローや業務機能、それに組織を作るという概念が足りていなかったと気づきました。

    部門のニーズや課題について、解決策をデザインする、必要なデータを検討・構築する、といったことも含めてファンクションとして設計する、全体を捉える体制まで含めて整える、というイメージができていませんでした。この点は自分の中でドラスティックに変わったところで、今後1つの大きな課題に向けてデータドリブンの仕組みを作れるようになるのではと期待しています。

    作成したルールを現場部門に適用し、実践を進めていく

    ——今後の取り組みについてお聞かせください。

    岩井様:
    来年度からはスモールスタートでいくつかの部門にルールを適用し、課題を確認しながら、実践を進めていきます。ここから3年くらいかけて全社に適用できればと考えており、引き続きデータ総研には実運用でも支援をお願いします。

    鈴木様:
    ルールも1度作ったものがすべてではなく、柔軟に変えた方がいいところを変えていく活動が必要です。ルールもPDCAサイクルを回すイメージでしょうか。

    「自分たちの活動が正しいかを確認しながら進める」という意味でも、データ総研に支援してもらったことで、より確実性をもって進めることができました。世の中を見ても、データマネジメントに関してはデータ総研が1番詳しいのではと思っており、後ろ盾のような存在として頼りにしています。

    伊藤:
    データマネジメントには成熟度モデルがあり、シチズン時計様はもともとレベル2(部門ごとのデータ活用はできているが、全社的には標準化されていない)でした。今回の活動でレベル3(全社的な標準化ができている)に進み、今後は、KPIを意識しながら活動プロセスを見える化するレベル4に挑戦することになります。着実に取り組みを進められるよう私たちも支援していければと思います。

    企業データ

    CITIZEN-Black

    会社名:シチズン時計株式会社

    代表者:代表取締役社長 大治 良高

    創業:1918年

    事業内容:

    時計およびその部分品の製造及び販売

    URL:https://www.citizen.co.jp/

    企業概要: 

    「国産時計をつくる」という熱い想いを原点に「市民に愛され市民に貢献する」という企業理念を掲げ、社会環境やライフスタイル、価値観の変化にあった製品開発をおこなう。時計づくりの小型精密技術を活かし、工作機械、デバイス、電子機器など幅広く事業を展開する。

    関連情報

    データモデリングスタンダードコース【入門編】

    コース概要

    ジール様でご導入いただいているデータモデリングスタンダードコース【入門編】は、データマネジメントの実践に欠かせないコアスキルである「データモデリング」の基礎を学びます。洗練された方法論に基づく学習プログラムに仕上げているため、初学者でも技術習得が容易な内容となっています。
    詳細はこちら
    https://jp.drinet.co.jp/school/standard-entry

    プログラム

    ・データ活用概論
     データ活用の方法の講義

    ・演習1:仮説を立ててみる
     仮説検証型アプローチの演習

    ・演習2:データモデルで表現してみる
     演習1で考えた内容をデータモデルで表現する演習

    ・まとめ
     データ活用・データマネジメントの関係の解説、講義の振り返り

    データ活用ワークショップ図
    データを活用した業務改善のあるべき姿