「教える」から「根づかせる」へ。実務に即した研修設計で、データモデリングを「現場で活かせる力」に変える

    基礎から応用へ段階的に学び、現場に浸透する「設計の共通言語」が芽吹きはじめた

    大成建設ICTソリューションズ株式会社

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    大成建設ICTソリューションズ様集合

    大成建設グループのICT領域を担い、業務システムの開発・運用を通じてDXを推進する大成建設ICTソリューションズ。同社が重要課題として位置づけたのが、データを正しく設計・活用する「設計力」の強化です。その基盤づくりの一環として本格的に取り組んだのが、「データモデリング」の定着でした。これまでもデータ活用に向けた基盤整備や教育施策には力を入れていたものの、実務とのつながりが弱く、スキルとして浸透しにくいという課題を抱えていました。こうした背景を踏まえ、2017年よりデータ総研の支援を得て、実践につながる教育改革を継続的に推進しています。「現場で使い続けられる力」として、データモデリングをいかに根づかせてきたのか――。大成建設ICTソリューションズ株式会社 業務統轄部の細野正太郎様、安藤登紀子様、そして支援を担った株式会社データ総研 シニアコンサルタントの持田恵佑に話を聞きました。※記事中の所属・役職名は取材当時(2026年1月)のものです。

    課題

    • データモデルに関する共通言語や判断基準が社内で統一されておらず、設計の品質にばらつきがあった

    • 座学中心の教育では実務との接点が弱く、スキルとしての定着に結びつきにくかった

    • 組織的にモデリング力を育成する仕組みがなく、属人的な指導に頼っていた

    解決策

    • データ総研の「データモデリングスタンダードコース【入門編】」を基盤に、自社の業務システムを題材とした現場に即したカリキュラムを整備

    • 新卒や若手、中途社員など将来的にデータ設計に携わる人材を対象に、データモデリングを「標準スキル」として展開

    • 社内開催の少人数制ワークショップを導入し、個々の理解度や課題に寄り添った丁寧な支援を実施

    • 「基礎学習」→「実践ワークショップ」の段階設計で、現場に定着しやすい育成サイクルへ刷新

    効果

    • 段階的な研修による実務スキルの定着と、設計工程における品質の安定化

    • データモデルに対する共通言語が社内に育ち、レビュー工数が削減し、意思疎通が円滑化

    • 業務視点を踏まえた構造設計が浸透し、新規開発や改修の現場で主体的な設計判断が増加

    • 研修ごとのフィードバックを反映した改善サイクルの継続により、学びの質が深化

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    グループ全体のデータ活用を見据えた、「活かせる」基盤づくりへの歩み

    ——大成建設ICTソリューションズ様における、データ活用の取り組みについてお聞かせください。

    細野様:
    当社は、大成建設グループ全体のICT領域を担い、業務システムの開発から運用・保守までを幅広く手がけています。近年では、グループのDX戦略を支える存在としての役割が強まり、特に「データの統合と利活用の促進」を重点施策の一つに掲げています。

    目指しているのは、社内に分散していた業務データを一元的に構造化し、誰もが効率よく活用できる環境の整備です。私が所属する開発技術チームでは、技術の標準化やナレッジの共有を通じて、こうしたデータ基盤の強化を技術面から支えています。

    細野様
    大成建設ICTソリューションズ株式会社 業務統轄部 細野正太郎様

    ——もともと、データモデルを業務に活かす意識は社内に根づいていたのでしょうか

    安藤様:
    当社では、システム全体を俯瞰する「全社情報マップ」という概略的なデータモデルを運用しており、その構築には、データ総研さんのデータモデル作成ツール「TH Modeler」を活用していました。

    教育施策にも早くから取り組み、データモデルの研修を継続的に導入するなど、社内の理解促進を図ってきた背景があります。私自身も入社後5年ほど経ったころに受講しました。

    とはいえ当時は、TH Modelerを実際の業務で使う機会がほとんどなく、せっかく得た知識をどう活かせばいいのか、明確なイメージが持てませんでした。いわば「宝の持ち腐れ」のような状態になっていたんです。

    その後、データモデルが十分に実務へ結びついていないという課題が社内で共有され、各システムで概念モデルの作成を推進する方針が打ち出されました。これをきっかけに、データモデルの実践的な活用が本格的に動き始めました。

    安藤様
    大成建設ICTソリューションズ株式会社 業務統轄部 安藤登紀子様

    形式的な受講から脱却し、実務につながる設計スキルを育てる教育改革へ

    ——データモデルの実用を進めていく中で、どのような課題を感じていましたか

    安藤様:
    私がデータ監理者に就任してからは、社内で作成されるすべてのデータモデルについて、レビューと指導を行う体制を整えました。

    ところが実際に運用を始めてみると、提出されるモデルには品質のばらつきがあり、文法や構造など、基本的な理解が十分に浸透していない現状が浮き彫りになったんです。レビューにも想定以上の時間がかかり、ひとつの案件に数カ月を要することもありました。

    知識があっても、現場で実践できるスキルとして定着していないことが、最大の課題でした。そのため、現場に即した形で、基礎から応用までを習得できる仕組みが必要だと考えたんです。

    そこで、これまで研修でお世話になっていたデータ総研さんに相談を持ちかけ、現場で本当に役立つ実践型の教育プログラムの構築に踏み出しました。

    自社システムの画面と項目をもとに、「業務起点の教材」で学ぶ実践型研修

    ——プロジェクトは、どのように進めていったのでしょうか

    安藤様:
    データ総研さんからは、当社の既存システムの画面をもとに、紐づくデータ項目を整理した「データ項目定義書」を作成し、それを教材として活用する、実務に即した研修プログラムをご提案いただきました。


    具体的には、最初に画面ごとに作成される小さいデータモデル(=部分図)を作成し、それを業務単位の1つの大きなデータモデル(統合図)として統合することで、システム全体の構造を俯瞰的に捉える内容です。座学では得にくい構造的理解を、ワークショップ形式で自然と深められるよう設計されています。

    この提案を受けて、2017年にプロジェクトが始動しました。夏から秋にかけて研修資料を整備し、データモデルも複数回のレビューを重ねながら精度を高め、冬には初回のワークショップを開催するに至りました。

    持田:
    通常の入門研修では、データモデリングの基本的な概念や手法を学ぶのが中心ですが、今回は大成建設ICTソリューションズ様のご要望に合わせ、実際の業務システムを題材にした教材設計を行いました。

    現場の実態に沿った内容にすることで、研修の学びがそのまま実務に直結するようにしています。

    持田
    株式会社データ総研 シニアコンサルタント 持田恵佑

    スキルの個人差を前提に、学びを深める支援設計へシフト

    ——取り組みを進める中で、あらためて気づいた課題はありましたか

    安藤様:
    もっとも苦労したのは、受講者の基礎理解にばらつきがあり、ワークショップが想定どおりに進まなかったことです。

    初回のワークショップは、参加者が事前に「基礎学習」を終えている前提で設計していたため、特別なフォローは行いませんでした。しかし実際には、知識が不十分なまま参加している方もおり、内容に戸惑う様子が見受けられたんです。

    この経験を通じて、参加者一人ひとりの理解度や習熟度を踏まえ、スキル段階に応じた研修設計が不可欠であると実感しました。そこで2回目以降は、まず「基礎と演習」で土台を固めたうえで、実践的なワークショップへ進む二段階構成へと見直しました。

    段階的に「学び→実践」へとつなぐことで、理解の定着と応用力の向上を図れるようになったと感じています。

    ——ほかに工夫された点はありますか

    安藤様:
    以前は、データ総研さんが実施する外部研修に受講者を派遣していましたが、今回は受講者の理解度や習熟度をより細かく把握するため、研修を社内開催へと切り替えました。

    自社で開催することで、受講の様子を直接見ながら理解の深さやつまずきの傾向、個々の得意・不得意をつかめるようになったのは大きな変化です。

    私自身も、「全員に同じ水準で覚えてほしい」と求めがちだった以前と比べて、今では一人ひとりに合わせたサポートを意識するようになりました。研修の実施方法だけでなく、教育そのものの在り方を見つめ直すきっかけにもなったと感じています。

    知識だけでなく、「自社らしさ」を共有する学びの場にもつながる 

    ——現在は、どのような形で研修を実施されていますか

    安藤様:
    今回の取り組みは、新卒社員や若手メンバー、またシステム開発や保守業務に携わる中途入社者など、将来的にデータ設計に関わる可能性のある方を主な対象としています。

    また、実践編となるワークショップでは、あえて4名という少人数制を採用しています。これは、人数が多すぎると受け身になる参加者が出やすく、学びの密度が下がってしまうためです。

    この規模にすることで、参加者同士の議論が活発になりやすく、双方向のやりとりの中で理解を深められると考えています。

    ——実際に受講した方からは、どのような声がありますか

    安藤様:
    「初めて見るコードに触れた」「用語ドメインの重要性に気づいた」といった声が多く、データモデルだけでなく、周辺知識にも新たな気づきが生まれています。


    また、ワークショップでは当社独自のルールや考え方も共有しており、教科書的な学びから一歩進んで、自社業務を捉え直すきっかけにもなっています。

    持田:
    企業によっては「とりあえず受けさせる」といった形式的な参加にとどまるケースも見受けられます。しかし、そのようなケースでは、データモデルの重要性が受講者にうまく伝わらず、受講者の理解や納得感にばらつきが生じやすくなってしまいます。

    その点、大成建設ICTソリューションズ様では、会社としてデータモデリングに真摯に向き合い、受講の意義や背景についても丁寧に共有されているため、受講者のモチベーションにも確かな違いを生んでいると感じています。

    安藤様、細野様

    データモデルに対する共通認識が育ち、自律的なサイクルがまわり始めた

    ——これまでの取り組みを振り返って、現状をどのように受け止めていますか?

    安藤様:
    継続的な研修の積み重ねにより、組織全体の知識レベルや設計スキルが着実に底上げされてきたと実感しています。


    以前はデータモデルに関する共通理解が不足していたため、ちょっとした修正指示にも、画面操作の詳細まで丁寧に説明する必要がありました。今では、基本的な知識が社内に浸透してきたことで、方向性を簡潔に伝えるだけで意図をくみ取り、自律的に対応できるメンバーが増えています。

    また、研修を通じて得た知識が現場で共有され、新しいメンバーにも自然と受け継がれていくという、良い循環も生まれています。

    加えて、新規開発や大規模なシステム改修の場面でも、データモデルを活用することで、影響範囲を把握しやすくなり、根拠をもった設計判断が下せるようになりました。

    現場の意図や要望をくみ取り、柔軟に反映するデータ総研の伴走力

    ——データ総研の研修や対応について、どのように感じていますか

    安藤様:
    理想は全員が100%理解できる状態ですが、実際には習熟度に差が出るのが現実です。そこで最近は、その前提を踏まえたうえで、内容や進め方の調整をお願いしています。

    例えば、「一対一のサブタイプ」や「サブストラクチャー」といったTHモデル特有の表現は、多くの受講者にとって難所でした。その点を重点的に補強いただけるよう依頼したところ、テキストの見直しや説明手法の工夫など、柔軟にご対応いただいています。

    要望を次の研修に確実に反映してくれる積み重ねがあるからこそ、継続的な改善が実現できていると捉えています。

    持田:
    安藤様は毎回研修に同席され、受講者に伝えたい要点やニュアンスも共有してくださるため、私たちも内容を的確に調整でき、受講者の理解度や満足度もより高まっていると感じます。

    こうした積極的な関与こそが、現場で本当に役立つ実践的な研修につながっているのだと、強く実感しています。

    持田、安藤様

    設計品質が未来の基盤に。データモデリング力を軸に、組織のDXを加速させる

    ——今後、組織全体の成長にどうつなげたいとお考えですか

    安藤様:
    現在取り組んでいる研修で得られる知識やスキルは、DXを支えるデータ基盤の構築に欠かせないものであり、新入社員に対する初期教育としても非常に重要な位置づけです。

    十分な理解がないままデータ設計をすると、不要なデータの蓄積や設計ミスにより、システムの複雑化や運用負荷の増大を招くリスクがあります。特に、初歩的な設計の誤りが、後工程で大きな手戻りや品質低下につながるケースも少なくありません。

    だからこそ、設計の基本原則を初期段階から正しく理解し、精度の高いデータモデルを構築できる人材を育てることが不可欠です。

    今後も研修の質を高めながら、全社的なデータ活用の質の向上と、グループ全体におけるDXのさらなる推進につなげていきたいと考えています。

    ——最後に、データ総研へこれから期待することをお聞かせください。

    安藤様:
    テクノロジーの進化により、私たちを取り巻く環境は日々変化しています。そうした時代の潮流を見据えたコンサルティングや研修を、今後も継続的にお願いできればと思います。

    私たちも、それらの知見を取り入れながら、研修内容をより現場に即した実践的なものへと進化させていく考えです。

    細野様:
    私自身、データ総研さんとは約14年前、社内で本格的にデータモデリングに取り組み始めた時期からお付き合いがあります。現在は安藤が中心となって研修を推進していますが、変わらず柔軟かつ丁寧に寄り添っていただける姿勢に深く感謝しています。

    これまで積み上げてきた取り組みが着実に広がりを見せる中、今後はその成果を土台に、グループ全体への展開にも力を注いでいく予定です。そうしたフェーズでも、ぜひ引き続き力強いご支援をお願いしたいと思います。

     持田:
    ありがとうございます。データモデリングは、技術の進化に流されることのない、普遍的なスキルです。だからこそ、みなさまの業務に即した実践的な研修をご提供しながら、時代の変化に対応した活用方法も積極的にお伝えしていきます。


    大成建設ICTソリューションズ様の取り組みがさらに広がり、グループ全体のデータ活用が一層進むよう、今後も伴走してまいります。
    細野様、安藤様、持田

     

    企業データ

    TAIS

    会社名:大成建設ICTソリューションズ株式会社

    代表者:代表取締役社長 白井俊二 

    設立:1984年4月

    事業内容:

    大成建設グループ向け業務システムの企画・開発・運用・保守、ネットワーク・インフラの構築・運用、AI・IoTソリューションの提供など

    URL:https://www.taisei.co.jp/tais/

    企業概要: 

    大成建設ICTソリューションズ株式会社(TAISEI ICT SOLUTIONS CO.,LTD.)は、本社を東京都新宿区に置く、大成建設グループのICT戦略を担う中核企業。2025年7月に株式会社大成情報システムから商号変更した。大成建設の100%子会社として、グループ全体の基幹システムやネットワークインフラの構築・運用を一手に引き受けるほか、AIやIoTなどの先端技術を活用した建設現場のDXを推進。「地図に残る仕事。」を掲げるスーパーゼネコンの建設プロセス変革と生産性向上を、デジタル技術の側面から支えている。

    関連情報

    データモデリングスタンダードコース【入門編】

    コース概要

    ジール様でご導入いただいているデータモデリングスタンダードコース【入門編】は、データマネジメントの実践に欠かせないコアスキルである「データモデリング」の基礎を学びます。洗練された方法論に基づく学習プログラムに仕上げているため、初学者でも技術習得が容易な内容となっています。
    詳細はこちら
    https://jp.drinet.co.jp/school/standard-entry

    プログラム

    ・データ活用概論
     データ活用の方法の講義

    ・演習1:仮説を立ててみる
     仮説検証型アプローチの演習

    ・演習2:データモデルで表現してみる
     演習1で考えた内容をデータモデルで表現する演習

    ・まとめ
     データ活用・データマネジメントの関係の解説、講義の振り返り

    データ活用ワークショップ図
    データを活用した業務改善のあるべき姿