先月号では「Enterprise Data World」(以下EDW)の概要をお届けしました。
そのEDWでは、毎年、その年の主要トピックに則したキーノートが講演されます。
今年は「①セキュリティ、②CDO、③エンジニアの生き方」の3本でした。
その中から、今月号では「②CDO」を取り上げたいと思います。
CDOとはChief Data Officer(チーフデータオフィサー)の略語です。日本語では「最高データ責任者」と訳されます。
CDOは日本ではまだ馴染みがなく、CIOの役割と混同されがちですが、海外、特にアメリカでは、データ管理の専門組織「チーフデータオフィス」と共にこの役職の導入が進んでいます。有名どころでは、米Yahoo社が早くに採用しています。データスチュワードの採用が進んだ企業では、領域別のスチュワードと、彼らが責任を持っているデータを全社的に統括する役割/組織が必要となりました。それがCDOでありチーフデータオフィスです。
今年のEDWでCDOのキーノートを講演したのは、アメリカの中央銀行に相当する「連邦準備理事会(FRB)」のCDOでした。
FRBでは、CDOを中心に、従来の企業レポートや経済統計年鑑に加え、スタートアップ企業活動やWeb上のC2C取引まで、米国に関するあらゆる経済活動のデータを収集しています。こうしたビッグデータを単に蓄積するだけでなく、整理・統合から、分析を経て、FRBの施策へのフィードバックを行っているそうです。講演の最後の「今後は、各国の中央銀行のCDOと連携していく予定である」という発言が非常に印象的でした。
日本でも、ようやくデータマネジメントとその活用の重要性が認識されてきましたが、まだ実践に至っている企業は多くありません。今後は、ますますグローバル化が進み、FRB等の海外CDO機関と交流する機会も増えると思います。そう遠くない未来に備え、日本企業もデータマネジメントのPDCAを回すためにも、データ管理の組織・役割を、きちんと整備していかなくてはならないと感じました。
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先日アップルのジョナサン・アイブが「CDO」に就任したというニュースがありましたね。
ただ、こちらはChief Design Officer(チーフデザインオフィサー)です。
頭文字略語は何とも紛らわしいですね。
ちなみに、日本語訳では「最高デザイン責任者」です