データマネジメントについて知ろうと思ったとき、最も信頼できる情報源がDMBOKです。本記事では、データマネジメントの知識体系として世界で広く受け入れられているDMBOKについてご紹介いたします。
DMBOKとは?
DMBOKとは、データマネジメントに関する知識を体系立ててまとめた書籍です。DMBOK はData Management Body of Knowledgeの略称です。現在までに、第2版が出版されており、日本語版も出版されています。(以後、DMBOKの第2版のことを”DMBOK2”と表します。)
DMBOK2英語版の購入: DAMA Body of Knowledge, amazon
DMBOK2日本語版の購入: 日系BP
国際的なデータ専門家で組織された非営利団体DAMA International(本部:米国フロリダ州,Data Management Association International)によって策定されました。多くの数の専門家が、DMBOKの編集に関わっています。
データマネジメントの難しさとDMBOKの意義
データマネジメントの考え方や活動を理解するのは、なかなか難しいです。
難しさの要因の一つとして、近年のIT環境の変化があります。近年の変化は非常に大きく、従来の考え方だけでは通用しない部分も出てきました。例えば近年の変化として、以下のようなものが挙げられます。
- 設計技法の変化
従来、データ設計といえば、データモデルを作成して理想的なデータ構造を設計し、その構造を格納できるようにRDBを設計する、という流れでした。しかし、ERPやクラウドの登場に伴い、状況が少し変わってきています。ERPやクラウドでは、あらかじめデータ構造が決まっていることがほとんどです。それらの「あらかじめ決められた器」に対して、自社の業務要件をいかに的確に当てはめるか?といった考慮がデータ設計における重要な作業になってきました。 - 規制強化・コンプライアンス意識の高まり
バーゼルⅡやIFRSにより、企業に対して厳しい説明責任と監査可能性が求められるようになりました。データの値が誤っていると法令違反と見なされ、経営に大きな痛手となります。コンプライアンスを意識して、データの質を向上させる必要があります。 - データ活用範囲の拡大
SCMやCRMといった広域統合システムが浸透し、業務をまたいで統合された情報に対して価値が見出される時代になってきました。こうした情報をアウトプットするには、様々なシステムから複数のデータを組み合わせて作りだす必要があります。しかし、データ統合の過程で、データの取得ルートの錯綜や加工・変換プロセスの複雑化が起こるようになってきました。その結果、情報システムがブラックボックス化しているユーザー企業も多くなっています。
また、データマネジメントを難しくしているのはIT環境の変化だけではありません。データマネジメントの活動は非常に範囲が広いうえに、その中の様々な要素が複雑に絡み合っています。そのような中で、データマネジメントを理解し、実践していくことは至難の業といえます。
その様な状況の中で、DMBOKが役立ってきます。DMBOKの意義は、広範&複雑であるデータマネジメント分野に関し、統一的な概念を提示していることです。これにより、データマネジメントを実務で行う人々は、より効果的かつ一貫性のある活動を行うことができます。また、DMBOKにより用語が統一されることによって、データマネジメント実務者同士のコミュニケーションがスムーズになります。
DMBOKを読むことでわかること
DMBOKでは、広範なデータマネジメントの概念をいくつかの領域に分解し、理解しやすくしています。最新版であるDMBOK2では、11個の知識領域が定義されています。そのため、データアーキテクチャ、マスタデータ、データウェアハウスなどの、それぞれの困りごとに応じてDMBOKの内容を適用することができます。
DAMAホイール図
DAMAホイール図の知識領域は英語で書かれているので、以下日本語版の知識領域名を示しておきます。
知識領域(英名) |
知識領域(日本語) |
Data Governance |
データガバナンス |
Data Architecture |
データアーキテクチャ |
Data Modeling & Design |
データモデリングとデザイン |
Data Storage & Operations |
データストレージとオペレーション |
Data Security |
データセキュリティ |
Data Integration & Interoperability |
データ統合と相互運用性 |
Documents & Content Management |
ドキュメントとコンテンツ管理 |
Reference & Master Data |
参照データとマスターデータ |
Data Warehousing & Business Intelligence |
データウェアハウジングと |
Metadata |
メタデータ |
Data Quality |
データ品質 |
また、DAMAホイール図にはありませんが、次の5つのトピックもDMBOK2に書かれています。
トピック(英名) |
トピック(日本語) |
Data Handling Ethics |
データ取扱倫理 |
Big Data and Data Science |
ビッグデータとデータサイエンス |
Data Management Maturity Assessment |
データマネジメント成熟度アセスメント |
Data Management Organization and |
データマネジメント組織と役割期待 |
Data Management and |
データマネジメントと組織の変革 |
それぞれの知識領域・トピックの中では、「定義」「ゴール」「アクティビティ」「インプット」「成果物」「役割と責任」「供給者」「利用者」「参加者」「ツール」「技法」「評価尺度」という12個の要素が、知識領域コンテキスト図という図を用いて記載されています。(コンテキスト図の各要素に記載されている内容は全てを網羅しているわけではなく、各組織でカスタマイズする必要があります。しかし、その記載は非常に参考になります。)
DMBOKにもとづきデータマネジメントを成功させたい方へ
ここまで、DMBOKについて紹介をいたしました。弊社では、DMBOKの内容をもとにしたデータマネジメントのソリューション・教育コースを提供しております。
- DMBOKを読んでみたけどすぐに実践するのは難しい
- 経験豊富なコンサルタントからのサポートを受けたい
- データマネジメントに関して、現場で使える知識を身に着けたい
……などのお悩み・ご要望があれば、是非弊社にご相談ください。
以下のバナーよりお問い合わせ・お申込みをよろしくお願いいたします。
データマネジメントの参考情報
「データ活用者のためのデータマネジメント」講演資料ダウンロード
マイナビ主催イベント「TECH+ Business conference 2023 ミライへ紡ぐ変革 TECH+ データ活用 Week」での講演資料をダウンロードいただけます。
内容
・データ活用に対する「3つの不安」
・データマネジメントにおいて重要な「5つのS」
・マスターデータマネジメント実現を阻む「3つの壁」
データアーキテクト養成コース
データアーキテクト養成コースでは、データマネジメントの全体像及び、実施すべき施策・活動を押さえたうえで、施策や活動の目的や位置付けと、そのために必要な観点や基本フレームを中心に学習していきます。随所で小演習をはさみながら、具体的課題への対応方法を体験していただき、データアーキテクトとして活躍できる人材の育成を図ります。
データアーキテクトとなる当事者だけでなく、組織・顧客にデータマネジメントの推進を促す立場の方、データマネジメントの全体像を把握したいSEの方などにも必修の内容です。
DMBOKにはデータマネジメントを実践するための具体的な手順は書かれていませんので、DMBOKを読んで実際に何をどのように進めればよいのか悩んでいる方にもお勧めのコースです。
データ総研のMDMソリューション
今あるデータをもっと有効活用したい、多様化するニーズに即応できるシステムにしたい、複数のシステムを統合しなければならない…などのシステムに関する様々な課題を解決するためには、マスターデータマネジメント(MDM)が不可欠です。
データ総研のMDMソリューションは、難度の高いマスタ統合・コード統一を、さらに一歩進め、『早く・安く・うまく』実現できるよう工夫されたソリューションです。