一休さんと言えば、とんちのきいた修行僧としてアニメにもなりました。しかし、一休という名は25歳の時に師より授かったもので、アニメくらいの小さい時の名は周建といいました。だから、「は~い」と返事をするのは周建さ~んと呼ばれた時でないとおかしいことになります。何でこんなことになってしまったのかというと、江戸時代になってから作られた仮名草子に『一休咄(はなし)』というがあり、その中で子供の頃の一休さんの話として、渡ってはいけない橋を渡ったとか、屏風に描かれた虎を出せだのという話が紹介されたためです。
さて、実際の一休はかなり型破りな僧であったようで、飲酒や肉食など戒律として禁じられていることも平気でやっていたそうです。そんな姿勢が庶民目線だということで、大変人気があり、とんち咄につながっているのではないかと思います。文献に残っている実際の言動によると「経文に気をとらわれてこだわりすぎると、有害なものになる。」と僧の身でありながら言い放ち、悩める人には規律を求めるのではなく、「踏み出せばその一歩が道となる。迷わずゆけよ、ゆけばわかる」とアドバイスをしたそうです。なんかアジャイル的ですよね。変革をする時に大切なのは原則論だけではなく、こういう一休さん型の観点ではないでしょうか。
業務を効率化しようとか自動化しようという要望から、システム検討は始まることがよくあります。そして、要件通りに仕組みが完成し、動き始めれば当然それまで人が行っていた作業はシステムが代行することになります。じゃあ、それまでの作業時間は削減工数として効果に現れるはずなんですが、そうはならないということがあります。「なんで、一休さーん」と叫びたくなるようなケースですが、調べて見ると、自動化した結果のデータの分析やレポートなど新たな業務が増えたり、隣のチームの作業のヘルプをやらされたりと、業務が組織全体の中で平準化してしまっていることがあるようです。システムの作り手から見れば、当該の業務をデザインするだけでなく、組織の人の動きをデザインしておかないといけなかったということになります。更に、システムを導入したことによって変わる(場合によっては増える)業務をデザインしておくこと、すなわちシステムの対象範囲を広げておくことが幸せのための秘訣ではないかと思います。実際の業務は様々なつながりを持っているので、顕在化する課題だけを部分的に解決しても真の課題には届いていないという言い方もできると思います。まあこういうのも動いたからこそ、見えたことなんじゃないでしょうか。一つのアクションで期待通りの成果が出なかったからといって、がっかりすることはありません。一休さんの言うとおり、まずは一歩踏み出すことが大切なんだと思います。
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