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データスチュワードという仕事

組織/人材育成
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データマネジメントを実施するためには、対象データの更新・参照業務や品質維持に関する責任部署が必要です。 一昔前はそういった責任部署をデータオーナーと呼んでいました。10年ほど前になりますが「データオーナーと呼ぶのをやめよう。これからはデータスチュワードと呼ぼう」という記事を読んだ覚えがあります。その記事では、次のように記述されていました。

「データオーナーと呼ぶと、そのデータの所有者という意識が強くなり、そこに弊害が生じる。たとえば・・・

  • そのデータをどう管理するか
  • 更新しても良い人を誰にするか
  • 誰がそのデータを見て良いか/見ていけないか
  • どれくらいの期間保有するか

これらをオーナー部署が勝手に決めてしまう。データは部署内に閉じることなく企業全体のために使われるべきであるが、社内政治のために軋轢が起こり、使うべき人が使えない状況が発生する。本来データのオーナーは企業であり、各部署はデータを維持する責任があるだけだ」

というのです。

DAMA-DMBOKにも記述されているとおり、データをマネジメントする責任部署・責任者をデータスチュワードと呼びます。主に、データとメタデータの品質・利用に関して責任を負います。データスチュワードが実施すべき活動をDAMA-DMBOKをベースにご紹介しても良いのですが、それは別の機会に譲るとして、今回はある企業におけるデータスチュワードチームの仕事を紹介します。

以下、ある金融機関のデータスチュワードチームの仕事です。
このデータスチュワードチームは、個々の金融商品を扱う部署とは独立した組織として機能しています。構成人員はシステム側メンバと業務側メンバの混成チームです。主な仕事は、各業務部署からあがってきた調査内容に応えることです。リアルタイムに近い緊急の問い合わせもありますし、中長期の戦略に関わるレポートを作成することもあります。

たとえば、次のような問い合わせに応えることが1つの仕事です。
「ある金融商品の契約書に書かれた○○という契約者名と別な金融商品の契約書に書かれた△△という契約者名は、苗字が違っているが同じ人物に思える。同一人物かどうか調査してほしい。また、この人物が別な契約をもっているかも含めて、取引上限額を越えていないか調べてほしい」

この依頼に対してデータスチュワードチームは、同じ人物かどうかを電話等で本人に確認し、個人IDをそれぞれの契約データに登録します。そして、同じ個人IDを持った他の契約ファイルをすべての金融商品に関して探し出し、取引額を計算して、取引上限額を越えているかどうかレポートを作成します。

ここまで読んでくると「なんだ、普通の業務をやっているだけじゃないか・・・」そう感じるかもしれません。本来、データスチュワードの仕事とはそういったものです。特別な業務をしているわけではなく、データ値と業務世界の対象を正しく対応させることにより、業務の遂行を助ける仕事なのです。

データスチュワードは、業務知識と各システムからデータを取出し比較するIT技術を持ち合わせた専門職と位置づけられます。
(注:データスチュワードの仕事の一面を説明しているだけで、すべてではありません。)

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