2010年度夏季特別開催セミナー

「DOA人生の総括とDOA2.0の夢」
~ データ総研椿正明の締めくくり ~

2010年度夏季特別開催セミナ:終了報告

2010年7月2日(金)、アイビーホール青学会館にて弊社フェローを務めた椿正明の引退記念特別セミナが開催されました。

当セミナは講演とパネルディスカッションの二部構成で行われました。講演は「DOA人生の総括とDOA2.0の夢」と題し、DOAの成立から今後のシステム開発においてDOAが果たすべき役割にいたるまでが椿によって語られました。DOA黎明期に化学工学エンジニアとして関わり始めてから現在に至るまで、常に一線で活躍し続けている椿の半生はまさに『DOA人生』そのものです。その経験に支えられた椿のシステム論については、休憩時間に入ってからも参加された方々から質問が飛び交っていました。

パネルディスカッションでは、椿主催の研究会「K2W(Know What is the problem and Who knows it)」メンバーによって、SOAとDOAの関係が語られました。SOAの定義そのものからクラウドへのDOAの適用などについて、活発な意見が交わされました。

意見交換は懇親会でも続き、椿を中心に議論が尽きることはありませんでした。

セミナー内容

1. 「DOA人生の総括とDOA2.0の夢」

株式会社データ総研
椿 正明

実装独立のDOAについて、椿自身の体験に基づき、DOAの誕生から、今後のシステム開発への新たな展望について語りました。

  • ビジネスの主役は人とIOである。IOと業務フローはIPFチャートで、IO内のデータ項目とその加工処理はTHデータモデルで可視化できる。
  • システム開発・保守時にデータモデル図を使用すれば、関係者間での正確な情報共有ができる。モデリングは業務という曖昧な文学をモデルという数学に変換する作業である。
  • データの加工処理は、概念レベルでデータ項目間の整合性として定義づけるべきだ。定義されたデータ加工定義をDBMSで管理すれば、プログラミングレスによるアプリケーション開発も可能となる。
  • 企業の全社統合とは個別アプリの意味と価値を標準化することであり、リポジトリによって統制されたリソースとイベントのデータ通信場(ハブ)が必要である。
  • データ通信場があれば、システム追加変更時に複数の既存システムメンテが必要無く、通信場仕様のメンテだけで済む。
  • 個別アプリレベル、アプリ横断(全社共通)レベル、企業横断レベルの3階層でリソースとイベントのデータ通信場を設けることにより、グローバル・アプリ構築は実現できる。

2. K2W:略式パネルディスカッション ~SOAとDOA~

株式会社データ総研
椿 正明

  • サービスとはIOメッセージとその動きであり、SOAとは実装部品としてのソフトウェアを実装独立のサービス対応に作ることを目指すアーキテクチャである。
  • DOAは、サービスに含まれる属性をデータ通信場ごとに標準化し、実装部品としてのソフトウェアは実装工程で考える。したがって、SOAはPOA下でDOAアーキテクチャを実現する実装手段。
  • データの加工処理は、概念レベルでデータ項目間の整合性として定義づけるべきだ。定義されたデータ加工定義をDBMSで管理すれば、プログラミングレスによるアプリケーション開発も可能となる。
  • 今後情報システム部門の仕事はデータ通信場のメンテナンスが中核となり、メタデータに関する知識が必要とされる。

フリーター(元NECネクサソリューションズ)
佐野 初夫 様

  • SOAとは、システム全体を汎用的な部品(サービス)に分割し、部品を必要に応じて自由に組み合わせることにより、柔軟で長期的に活用可能なシステムアーキテクチャを構築する仕組み。
  • DOAとは、「帳簿組織」を関心の対象とし、ビジネスプロセスと実装方法を対象としないことから、顧客に分かりにくい。
  • 今後は経営層にはSOAをアピールし、開発者にはDOAの手法を説明していくといい。

日本オラクル株式会社
小野沢 博文 様

  • ITの目指すべき姿は、「機能とデータの重複のない全体最適化されたIT」、「変化対応が容易な疎に結合したアプリケーション」、「標準技術でシームレスに連携するアプリケーション」
  • SOAにおけるサービスとは、他のアプリケーションやサービスに業務機能を提供するソフトウェアのコンポーネントである。サービスは重複せず、業務的に意味のある機能単位である必要がある。
  • またサービスは、コントラクトと実装が明確に分離されていなければならない。

マイクロソフト株式会社
萩原 正義 様

  • クラウドで扱われるデータは、ストリームデータなどの非構造データが多い。こうしたデータはDOA2.0の対象となる。
  • クラウドは保守や通信が非同期であり、部分的な故障が波及しない。業務継続性を包括し、サービス単位でラッピングする必要がある。
  • データをどう扱うか、価値を高めるか、クラウドをはじめ今までとは異なる技術が必要となる。

株式会社データ総研
堀越 雅朗

  • サービスとは、何らかのプロセスを肩代わりしてもらえるもので、トランザクションの単位と同じになるが、粒度は一定ではない。
  • 利便性によって、複数のサービスを組み合わせたサービスもある。
  • SOAは実装手段というよりは考え方であり、DOAの考え方に基づきSOAを実施することで、SOAの理念を実現できる。

プログラム

13:30~13:35

セミナー開会のあいさつ

13:35~16:30
(途中15分休憩あり)

「DOA人生の総括とDOA2.0の夢」

16:30~17:00

「K2W:略式パネルディスカッション ~SOAとDOA~ 」

17:00~17:15

全体質疑

17:15~17:30

閉会(懇親会ご案内)

17:30~19:00

懇親会

19:30

閉会

開催概要

名称 「DOA人生の総括とDOA2.0の夢」 ~ データ総研椿正明の締めくくり ~
主催 (株)データ総研
会期 2010年7月2日(金) 13:30~17:15
会場 アイビーホール青学会館
参加費 無料
懇親会参加費:3,000円(税込)

椿からのメッセージ

「ご存知の方も多いかと思いますが、2月に予定した通称「DB研」最終回(25回)が椿の事故で流れました。今回はそのやり直しのご案内です。内容は24回までは前年の文献の整理によるトレンドの解説でしたが、今回は椿のDOA40年の振り返りと、データ通信場によるアプリ連携と企業間連携の夢を語るものです。正しいDOAによってプログラミングレスとスパゲッティレスを実現する方法が見えましたので、情報産業界の抱える多くの問題解決の切り札として御検討いただきたく紹介させていただきます。

なお中断中であったK2W(Know What is the problem and Who knows it)研究会の締めとして、SOAをテーマに略式パネル討論を行いたいと思います。」

講師紹介

椿 正明
Masaaki Tsubaki

株式会社データ総研

わが国の意味論データモデル研究者の草分け。1985年(株)データ総研を創設。PLAN-DBを中心としたDOAコンサルティングを展開。主著に「データ中心システム入門」「データ中心システムの概念データモデル」「データ中心アプローチによる情報システムの構築」、「名人椿正明が教える~」シリーズとして、2005年に「データモデリングの技」を出版。2006年に「システム分析・モデリング100の処方箋」、「帳票分析50のケーススタディ」を出版。工学博士

※本ページに掲載されている所属、役職等は開催当時のものとなります。