2010年冬季特別開催セミナー

データマネジメントの未来

2010年度冬季特別開催セミナー:終了報告

去る2010年2月5日(金)、アイビーホール青学会館にて「冬期特別開催セミナー」を開催し、各講演後に活発な質疑応答が交わされるなどご好評のうちに閉幕いたしました。ご参加いただきました皆様の良き情報交換の場としてご活用いただけましたら幸いと存じます。

セミナー内容

1. クラウド時代における企業内システムの形 〜水平統合の進化系〜

協和発酵キリン株式会社
中山 嘉之 様

クラウドコンピューティングの必然性をSaaSの適用事例を交えてご紹介いただきました。

  • クラウドコンピューティングにおいて、最大の興味はSaaSを利用することである。
  • SaaS利用は業務アウトソースの可能性をもたらす。
  • SaaSは汎用性の高い会計システムや人事システムから適用すべきである。
  • 計画性のないSaaS利用の弊害は、システム間のデータI/Fが分断され、各システムのサイロ化を助長してしまう。
  • SaaSの要はTR-Hub(トランザクションハブ)とマスタHub(マスタハブ)による疎結合I/Fの実現である。
  • 今後情報システム部門の仕事は、TR-Hub、マスタHubのメンテナンスが中核となる。メタデータに関する知識が必要とされる。

2. データマネジメントを起点とした改革・改善活動

中部電力株式会社
久野 高志 様

SCM活動におけるデータマネジメント手法について、事例を交えてご紹介いただきました。

  • データに有意の属性を持たせ、意味を与えたものがデータマネジメントである。
  • データマネジメントの前処理としてデータクレンジングが必要である。
  • データクレンジングとは、データ分析をする前処理としてルールを定め、表現を統一することである。
  • 既存システムには手を入れずに蓄積されているデータを活用して「実現したい内容」を実現するためには、外部の力を活用してデータの見える化が必要である。

3. データマネジメントの未来

株式会社データ総研
黒澤 基博

データ総研がDAMA-DMBOK(データ管理知識体系)の正式な教育機関として認定されたため、DMBOKの概要についてご紹介致しました。

  • DAMAの目的は「情報・データの管理に関する理解・開発・実践を促進させること」である。
  • DMBOKとは過去40年に及ぶデータマネジメントに関する知の集大成をプロ120名以上が4年の歳月を費やしてつくりあげたものである。
  • データライフサイクルとシステムライフサイクルでは、データライフサイクルの方が幅広い。
  • データマネジメントとは、データ資産および情報資産の計画作成、統制、配信にまつわるビジネス機能を意味している。
  • データガバナンスとは、企業のデータ資源を管理する正式な業務プロセスの設計・構築・実行である。
  • データの値の正しさ、意味的な構造を維持し続ける恒常的なデータマネジメント組織が必要となる。

プログラム

13:00~13:10 セミナー開会のあいさつ
  データマネジメント先進事例とDMBOK
13:10〜14:20

1. 協和発酵キリン株式会社 様
クラウド時代における企業内システムの形 〜水平統合の進化系〜

協和発酵キリン株式会社 情報システム部長 中山 嘉之 様

1982年より社内の業務アプリケーション設計に携わる。
メインフレーム〜オープン系へとプラットフォームが変遷する中、一貫してモデリング(DB、プロセス)及び、プロジェクト管理を手掛ける。
現在は、情報システム部長と上流アーキテクトの二足のわらじを履き、経営とシステムの融合をビジョンに掲げる。
ユーザ企業の立場から、上流工程におけるモデリングの重要性や、分析モデラーとしての社内SEの役割を説く。

  • クラウドに至る背景
  • SaaSと社内システム
  • トランザクションHub
  • SaaSの適用例
  • 将来の構想 など
14:30〜15:40

2. 中部電力株式会社 様(協力:株式会社リアライズ 様)
データマネジメントを起点とした改革・改善活動
〜その実行に不可欠な風土改革と現場力強化の取り組み〜

中部電力株式会社 資材部 計画・国際調達グループ(調達SCM)副長 久野 高志 様

2001年、中部電力の調達SCMプロジェクトの立ち上げに参加。業務プロセス改革(配電部門)とプラント設備のCSM(MRO部品サプライヤー管理:火力部門)等の事務局業務に従事。
2004年、電力会社を中心とした電子取引市場運営会社:株式会社ジャパン・イーマーケット出向。データマネジメントを基にした同等品・相当品集約コンサルティングやバイヤー間の「共同調達研究会」立ち上げを担当。
2007年より中部電力(株)資材部 計画・国際調達グループ。調達SCM事務局。改革・改善活動の基礎は、データマネジメントによる「見える化」と位置付けている。

  • 電力会社のビジネスモデルについて
  • 「データマネジメントを起点としたSCM改革」が始まった背景と活動概要
    • 解決が必要であった問題点
    • 活動の狙い・プロジェクト体制、等
  • 具体的な取り組み、その活動の成果、プロジェクト推進上で発生した課題、それにどう対処してきたか
    • 中電が考えるデータマネジメントとは
    • 取り組みの中で活用した手法(CSM、配電貯蔵品の「在庫見える化」、電子カタログ、等)
    • 改革のうえで不可欠なキーポイント(風土改革と現場力強化)、等
16:00〜17:00

3. データマネジメントの未来

株式会社データ総研 代表取締役社長 黒澤 基博

エンタープライズアーキテクト。DOAメソドロジスト。
1984年システムエンジニアとして、共同利用型バンキングシステムの設計・開発に従事。
1988年(株)データ総研入社。データ中心システム設計のコンサルティングを始める。電力・通信・製造・化学・建設・運輸・金融など数多くの業界におけるデータ設計に携わる。
1993年から業務アプリケーション全体最適化のコンサルティングも手がける。2000年に代表取締役社長就任、現在に至る。
主著に「データ中心のエンタープライズアーキテクチャ」がある。

  • データマネジメント後進国 日本
  • 「DAMA-DMBOK」とは
  • データクオリティ向上が業務品質を高める
  • データガバナンス≒コンプライアンス
17:00〜17:10 全体質疑応答、セミナー閉会のあいさつ
17:15〜19:30 情報交換会
※軽食をご用意しておりますので、ぜひお気軽にお立ち寄りください
19:30 閉会

開催概要

デファクトスタンダードDMBOK、先進事例

名称 2010年冬季特別開催セミナー データマネジメントの未来
ご協力企業様 協和発酵キリン株式会社
中部電力株式会社
主催 (株)データ総研
会期 2010年2月5日(金) 13:00〜17:00
会場 アイビーホール青学会館
参加費(税込) 一般企業様:20,000円/1名
ライセンスユーザ様:10,000円/1名

データマネジメント先進事例とDMBOK

「データマネジメントの未来」をテーマに、先進企業様の事例から、これからのデータマネジメントについて、みなさんと共に考えていきます。

協和発酵キリン様には、これからのクラウドコンピューティング時代の先進的なアプリケーション水平統合の取り組みについて、中部電力様には、データマネジメントを起点としたSCM改革についての概要・成果・課題などについて、データの維持管理やデータクオリティマネジメントの対応事例を、それぞれ発表していただきます。

そして私たちデータ総研からは、2009年4月に米国で出版されたばかりの知識体系である「DMBOK」やデータマネジメントのトレンドを解説します。

※本セミナは「椿正明のDOA40年総括」と「データマネジメント先進事例とDMBOK」の2部構成を予定しておりましたが、第1部講演者椿のけがによる入院のため、午後のみの開催とさせていただきました。

ご参加いただきたい方

  • 情報システム部門の管理者や企画部門の方
  • 情報システム改革に携われている方

関連ニュース

2009/11/04 発表:
データ総研,米国DAMAとDAMA-DMBOKの日本語翻訳で合意し,教育機関として認定される

※本ページに掲載されている所属、役職等は開催当時のものとなります。