2013年夏季特別開催セミナー
さる2013年7月5日(金)に「事例に学ぶグローバル時代のIT部門の役割とデータマネジメント」と題し、アイビーホール青学会館にて3年ぶりとなる夏季特別開催セミナーを開催いたしました。
ご来場者数は100名以上にのぼり、特に大手製造業2社様のご講演は大変好評を博しました。
昨今のIT部門のあり方や、データを取り巻く環境変化への関心の高さを改めて実感した次第です。本セミナーがご来場いただいた皆様にとって、益々のご発展の一助となれば幸いでございます。
同社はタイヤ製造・販売事業を中心として、スポーツ・産業品事業でも成長を続ける日本屈指の製造業である。同社において、IT部門が現在、経営から求められているものは従来の業務効率はもとより、4つのキーワード、「全体最適」、「業務改革」、「グローバル貢献」、「経営サポート」に集約される。これらは他社のIT部門にも少なからず通じる話と言えそうだが、今回はそれらにどう応えていけばよいかについて実践的な内容を踏まえた道筋をお話しいただいた。
最も印象的なメッセージは、「全体最適」、「業務改革」、「グローバル貢献」への対応策は、部門、言語・文化の壁を越えた、「優秀な中小企業を目指す」というものであった。また、そのためにユーザ部門との協同作業は避けては通れないものであるという。ポイントとして、ユーザ部門との信頼関係がベースにあり、IT部門は「黒コ・触媒・目利き」という重要な役割があるという考え方を挙げられた。
IT部門はユーザを鼓舞する「黒コ」の役割を持ち、ユーザ部門間の利害を超えた価値を創出するための「触媒」となり、経営にとって取り組むべき業務の「目利き」となれ。それらを併せ持ち、経営と話す場を設け、経営の言葉で語り、相互に信頼関係を築いていくことが「経営サポート」であるというものであった。
EDWは、世界中からデータマネジメントに関わる専門家とビジネスユーザが集まり、最新のアーキテクチャやソリューションに関する知見を見聞きし、話し合うこともできる貴重な場である。今回はその中から2部構成で内容を紹介した。
一つ目は全体の傾向を俯瞰しつつ、代表的なトピックスを、二つ目はデータ総研が注目する事例としてCDO(チーフ・データ・オフィサー)を取り上げた。
一つ目の全体の傾向に関しては、やはりビッグデータ関連が多く、それらを支えるデータガバナンスやデータクオリティ関連が肩を並べていた。ビッグデータへの取り組みの1つとして、ビッグデータモデリングやデータガバナンスの実態を取り上げていたビッグデータモデリングはCUBEなるものを利用して、構造型、非構造型を含め、実現したい目標に対して、本当に必要なデータは何か?を考え、見極めるための新しい考察手法である。
二つ目のCDOに関して、そもそもCDOという新しい役割が求められる背景として企業を横断するデータへの要求が増えている傾向にあることと、CIOの「I」はインフォメーションからインフラストラクチャに変わりつつある中で、結局、データについては誰もケアしないという実態が徐々に明白になる。故にCIOがケアしきれない領域を補完すべく、全く新しい役割であるCDOという役割、データの最高責任者というポジションが誕生した。
また、CDOをトップに頂き、データニーズを熟慮するための実行部隊やそれを広く浸透させるために必要なデータ中心組織という企業文化の変革や精神についても紹介した。
同社は、二輪・四輪や耕うん機などの汎用事業を中心に、いずれも海外比率が80%を超えるグローバルな事業展開を推進している。
同社のIT部門はIT本部となり、企業内全体で最適化されたグローバルオペレーション実現のために必要となるグローバル情報流の成立を加速させた。ITの基本構造に関する変革として、ビジネスは「開発効率の追求からサービス提供の追求」をインフラは「地域別のデータセンタ運用からグローバルでの連携」を掲げた。それらを実現するためにデータマネジメントの実践を重要視している。
また、震災の経験から情報をいかに早く集めて、アクションを起こしていくか、という情報活用の大切さを自分たちの身を以て学習したという。データマネジメントの実践としては、DMBOKをベースにしながらも、同社の固有要件をうまく織り交ぜ、独自にカスタマイズをおこなったという。DMBOK体系の中心にあるガバナンスに教育と戦略を加えることで、企業として重視するポイントを抑えた。
また、グローバルマスターにすべきものや、そのための基準(世界でユニークである必要があるか等)を整理することで、より実践的なデータマネジメントをグローバルに展開している。
13:00 | 受付開始 |
13:30 |
開会挨拶 |
13:40 |
1. ユーザー事例紹介 住友ゴム工業株式会社 IT企画部長 橘高 政秀 様 1981年住友ゴム工業入社。情報システム部、購買部、人事総務部を経て、2008年からIT企画部部長として住友ゴムグループのIT活用に関する企画・立案、IT重要プロジェクトやIT関連予算のマネジメントをご担当。ITビジョンは「経営戦略をサポートするIT」であり、会社を流れる情報をスムーズにするなど、一歩先を考えた手を打つことを重視した活動をされている。
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14:30 |
2. D-SIG個別研究会 |
14:50 |
休憩 |
15:10 |
3. 海外最新動向紹介 株式会社データ総研
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15:50 |
4. D-SIG個別研究会 |
16:10 | 休憩 |
16:30 |
5. ユーザー事例紹介 本田技研工業株式会社 IT本部 本部長代行 参事 有吉 和幸 様 1976年 本田技研工業入社。情報システム部門で補修用部品領域でシステム開発を担当、部品事業部門、IT部長、IT企画室長を経て2012年より現職。
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17:20 | 全体質疑応答、閉会挨拶 |
17:30 | 情報交換会 ※軽食をご用意しております。お気軽にお立ち寄りください。 |
名称 | 2013年夏季特別開催セミナー 事例に学ぶ グローバル時代のIT部門の役割とデータマネジメント |
ご講演企業様 | 住友ゴム工業株式会社 本田技研工業株式会社 |
主催 | (株)データ総研 |
会期 | 2013年7月5日(金) 13:30〜17:30(終了後情報交換会あり) |
会場 | アイビーホール青学会館 |
参加費 | 無料 |
データ総研の夏季特別開催セミナーは、ユーザー企業のIT部門の方々に向けて、IT部門の本来の役割や、その年のトレンドなどを研究するセミナーです。
今年度は、グローバル化、情報の有効利用、開発・運用のアウトソーシング、BPOなどITを取り巻くビジネス環境が変化する中で「IT部門がどのような役割を担うべきなのか」「そのためにどのような活動をしているのか」をデータマネジメントの視点を交えた事例で研究します。国内企業のグローバルな推進事例として、大手製造業2社様よりご紹介頂きます。
※本ページに掲載されている所属、役職等は開催当時のものとなります。