2014年夏季特別開催セミナー
2014年7月11日(金)に「情報システム部門のミッション改革」と題し、アイビーホール青学会館にて夏季特別開催セミナーを開催致しました。
ビジネス環境が激しく変化する中、ITがビジネスに果たす役割はますます大きくなっています。そのような環境下で今後IT部門がどのように変化に対応し、成果を残していくのかについて事例を報告させて頂きました。
多数の方にご参加頂き、これからのIT部門のあり方に対する皆さまの関心の高さを改めて実感致しました。
本セミナーがご来場いただいた皆様にとって、益々のご発展の一助となれば幸いです。
グローバル化が進み激しい競争にさらされている日本企業において、経営層がIT部門に期待することは何であろうか。昨今、日本企業におけるIT投資比率(対売上高)は1%台と他国と比較して特に低い水準である。
今後、企業が利益率を上げていくためには、単にITコスト削減を目的としただけの「守りのIT投資」から、より戦略的な業務を実現するための「攻めのIT投資」にシフトしなければならない。その変化の中でIT部門はこれまでよりもより上流の、システム化以前の「企画段階」から関わっていくことが求められる。
また、ビジネスのイノベーションを推進するためには、これまでの業務効率化を実現するために必要だったロジカルシンキング(「左脳型発想」)だけでなく、無から有を生み出すためのクリエイティブシンキング(「右脳型発想」)など、思考の変革が必要になる。
一方、システム開発の局面においても、ウォーターフォールやアジャイルだけでなく、「超高速開発」といった手法を取り入れ、変化に素早く対応する必要がある。
情報システムが全社およびグループ全体の効率化や、ビジネス上の競争優位性を確保するために欠かせない存在になっている昨今、再びEAが注目されてきている。そんな中、事業に貢献するEAは2つある。
一つは、グループ企業全体の情報システム構成を最適化すること、もう一つは、情報活用による企業貢献を実現することである。
情報システム構成の最適化は、可視化されたBA,DA,AAの俯瞰図から、情報システムの重複や不足、そして共通化可能な業務と事業領域を見つけ出し、対象の情報システムがBA,DA,AA,TAのどのレベルで統合が可能かを検討する。また、情報活用による事業貢献の実現については、自社の情報活用の段階(トーマスH.ダベンポート氏のデータ・アナリティクスの3つの段階)を把握した上で検討をするが、何れの場合も、経営戦略や事業戦略に整合していることが最も重要である
「システムリフォーム」は現在日本の大手企業の1割以上の利用実績を持つ、ソフトロード社のシステムマイグレーションサービスである。システム基盤およびアプリケーションの移行だけでなく、不要機能の削除や仕様書の作成までするところが特徴的である。
システムの改修が必要となる理由はいくつかあるが、老朽化したHWやSWの切替や保守要員引退への対処など、エンドユーザではなくIT担当者からの要望による場合も多い。
これまでは、このように仕様変更が少ないマイグレーションを主に、高い品質かつ低コストで行ってきた。
今後は、企業の競争力向上のためにデータ総研の業務要件定義技術を活用し、業務改善要素を取り込むトータルソリューション「システムリフォーム・プラス」に力を入れている。
今回で18回目となるEDW(Enterprise Data World)では、昨年セッションキーワードの上位を占めていた「ビッグデータ」と「BI・アナリティクス」は一旦落ち着き、再び「データクオリティ」や「データマネジメント」そして「エンタープライズアーキテクチャ」が注目されていた。理由はデータ活用を実施するのにあたって、データクオリティやデータマネジメントの重要性が再認識されたためと推測される。
特に注目した発表は、データマネジメントの専門職のキャリアパスやスキルセットに関する発表や、Big Dataを活用するために必要なデータマネジメントに関する発表で、エンタープライズデータマネジメントを実践するためには、データオーナーとは別にデータスチュワードを任命し、先ずは情報活用の分野からデータスチュワードが情報活用を阻害する要因の解決策を考えてみてはどうかという提言だった。
また、データマネジメントの知識体系ガイドであるDMBOKは、新たに「データの相互運用性」に関するナレッジエリアが追加されるなど、データを取り巻く環境の変化に合わせた改訂(2015年英語版リリース予定)がされる。
複雑かつ変化のスピードが早いビジネス要求に対する過去10年間の同社IT部門の生産革新の取り組みを、4Stepに分けて説明された。Step1では、ソフトウェアの開発プロセスや設計書を標準化をすることで、生産性を大幅に向上させた。Step2では、これまで個別プロセスで対応してきたビジネスルールをDOAで整理することで、サービス変化に対応しやすい構造を作り上げた。Step3では、DOAをベースにSOAによりビジネスを構造化することで、より効率的にIT資産を再利用できるようにした。しかし、これまでの改善はIT部門内での部分最適に留まるものだったため、Step4ではROIをより最大化するためにユーザも巻き込んだ部門横断のスクラム開発に取り組んだ。
ユーザと開発者の各混成チームが主体性をもって行動し、かつチームにスループットを強く意識させた。その結果、これまでの業務構造化の取り組みによって作成された資産を活かしつつ、サービスのリリースを早めることに成功した。
そこには、「人は”何を(What)”ではなく”なぜ(Why)”に動かされる」という、サイモン シネック氏のゴールデンサークルの思考法が根底にあった。
13:00 | 受付開始 |
13:30 |
開会挨拶 |
13:35 |
1. 基調講演 一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会 エグゼクティブ・フェロー 細川 泰秀 様 日本企業は激しい競争力にさらされており、情報システムシステム部門の役割は従来の「業務部門からの要求を待つ」姿勢から「業務部門へ提案できる部門へ」と変革を要求されています。しかしIT部門の仕事はコンピュータなる機械を相手に仕事をしてきているので発想が左脳中心になっています。 |
14:25 |
2.国内最新動向 株式会社データ総研 代表取締役会長 黒澤 基博
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14:50 |
休憩 |
15:05 |
3. ユーザー事例紹介 ソフトロード株式会社 代表取締役社長 劉 忱 様 『システムリフォーム』は、この5年の間で急速な広がりを見せ、日本の大手企業の1割以上が利用するようになりました。現在はパートナーであるデータ総研と共に、よりよく業務改善の要素を取り込む『システムリフォーム・プラス』を推進し、企業の競争力向上を図っています。 |
15:40 |
4.海外最新動向紹介 株式会社データ総研 シニアコンサルタントマネージャ 吉岡 健
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16:25 | 休憩 |
16:40 |
5. ユーザー事例紹介 ビッグローブ株式会社 クラウドサービス本部 エキスパート 茶木 勇自 様 ビジネス側の要求は途絶えることはありません。途絶えるどころか複雑さとスピードを要求しています。これまでシステム開発部門として標準化、製造技術の革新(DOA、SOA、BRMS)を進めてきました。しかし、要求に対して効率的に応える一部門の部分最適な改善の範疇を超えるところまでは至りませんでした。そんな閉塞感の流れを変える取り組みとしてスクラム開発への挑戦が始まりました。 |
17:30 | まとめ、全体質疑応答、閉会挨拶 |
17:45 | 情報交換会 ※軽食をご用意しております。お気軽にお立ち寄りください。 台風8号通過にともない、情報交換会は中止とさせていただきます。 |
台風8号の接近にともない、本セミナーの開催可否を判断させていただきましたが、セミナープログラムは予定通り行うことと決定いたしました。なお、セミナー終了後の情報交換会は中止とさせていただきます。
名称 | 2014年夏季特別開催セミナー「情報システム部門のミッション改革」 |
ご講演企業様 | 一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会 ビッグローブ株式会社 ソフトロード株式会社 |
主催 | (株)データ総研 |
会期 | 2014年7月11日(金) 13:30~17:45 |
会場 | アイビーホール青学会館 |
参加費 | 無料 |
ビジネス環境の変化が一層激しさを増している現在、IT部門には、単にシステムを開発するだけでなく、ビジネスや新たな価値創造に貢献することが求められ始めています。これを受けて、今年度の夏季特別開催セミナーは「情報システム部門のミッション改革」をテーマに、「システムライフサイクルを意識したこれからの開発」について、事例を研究することに致しました。
具体的には、近年の開発手法の変化と求められる人材像の変化に関するトピックスと、開発手法の変化が組織に好影響を及ぼした「スクラム開発」の事例、そして、業務への貢献度と品質・コストを意識したシステム刷新方法である「システムリフォーム」の概要と適用事例をご報告いただきます。
また、最新の国内・海外のIT関連動向として、従来よりも範囲を拡大した「EAブーム」の再来により戦略的なシステム化計画が必要になっていること、テキサス州オースティンで開催された「Enterprise Data World 2014」(4/27~5/1)の概要などをご紹介します。
※本ページに掲載されている所属、役職等は開催当時のものとなります。