データ総研・ユニリタ共催セミナー

部門やシステムの垣根を越えて知恵と情報を結集する!

特別開催 データ活用事例セミナー

ご紹介事例
ノーリツ:VOCによる製品改善事例
リクルート:ビッグデータの可視化事例

2015年度特別開催セミナー:終了報告

2015年9月1日(火)に「部門やシステムの垣根を越えて知恵と情報を結集する!データ活用事例セミナー」と題し、ベルサール神保町アネックスにて夏季特別開催セミナーを開催致しました。

ビッグデータやアナリティクスという言葉が示すように、企業のデータ活用の取り組みがますます盛んになってきています。企業経営に貢献すべく、それらの活動一つ一つを支え、更なる発展を目指すために努力されている各社の事例を中心に、弊社の考えるデータ活用を報告させて頂きました。
多数の方にご参加頂き、これからのデータ活用に対する皆さまの関心の高さを改めて実感致しました。
本セミナーがご来場いただいた皆様にとって、益々のご発展の一助となれば幸いです。

セミナー内容

1. データ活用成功のポイント

株式会社データ総研
代表取締役会長 黒澤 基博

情報システム部門の新たな役割として、情報活用を通じた業務改善部門になることが求められている。重要なテーマとして、ビッグデータと従来のデータの両方が利用可能な情報活用基盤を構築し、利活用のやり方も含めて利用部門を支援することが上げられる。そのためには、組織や業務を越えて情報共有する場を作り、コミュニケーションの質と量を変え、チャレンジしなければならない。

従来の画面や帳票を対象としたデータモデリングに対して、ビッグデータを対象としたデータモデリングでは、次の技術が求められる。

  1. 素朴な質問にどう応えるか
    情報要求の意味をより深く適切に理解することが求められる。
  2. 構造化データと非構造化データの統合
    IDがなく値だけが存在する世界で、コンテクストとグルーピングが意味を認識する上で重要になる。
  3. Anonymization、De-Anonymization
    匿名化の技術、個人を特定する技術が求められる。
  4. IoTセキュリティ
    インターネットにつながった“モノ”を守る技術が必要となる。

2. お客さまの声(VOC)を活用した製品と業務改善の成果と活動について

株式会社ノーリツ
品質保証推進統括部 お客さま部 リーダー 谷口 康子 様

「市場の声を聞け」と言うのはすべての産業に共通して重要なことである。しかし「言うは易く行うは難し」であり、組織が大きくなるほど市場の声は社内に届かなくなる。本当に「市場の声を聞け」るようになるには、不断の努力が必要となる。

ノーリツでは、過去に不幸な製品事故を経験しており、CS経営重視を経営者が決意した。お客さまからの質問や苦情を受け付けるコンタクトセンターでは、CS経営のレベルを上げるために、自らの役割を「顧客価値創造を担う、情報の集約・発信基地」としての意識し、「すべてはお客さまのために」というコンタクトセンタービジョンを掲げて活動している。その中でもお客さまの声(VOC)の活用は重点領域であると位置づけ、リモコンや取扱説明書など、お客さまの目や手に触れる部分の製品改善をいくつか成し遂げてきた。お客さまの声を経営に伝える仕組みとして、お客さまの声検討会を中心とした組織と会議体の連携を構築している。ただしこのような仕組みは一朝一夕にできた訳ではない。商品企画や設計部門との連携、VOCデータ(問い合わせ内容)の掘り起こしや深め、関係者に対する説得力のある資料作成が必要となる。これを達成するため、約10年をかけて仕組みそのものを改善してきた。振り返れば、立ち上げ期、仕組み化期、成熟化期と大きな三つの節目を経て現在がある。

IT基盤はデータ活用を高度化させる上で重要だが、そもそも業務の品質と信頼がなければ成り立たない。情報活用には、経営トップの一貫した方針、改善意識をもった現場所属長の組織を越えた働きかけ、成果の全社員での共有、優しさと厳しさを併せ持った活動推進、リターンを実証してからの仕組み化推進が必要である。

3. 顧客分析事例から学ぶ、データ活用のPDCA -成果につながる!データの利活用

株式会社アイズファクトリー
専務取締役 COO 岩﨑 哲 様

アイズファクトリーは、東京大学・東京工業大学で物理学(素粒子・宇宙論)の研究者が集まって創業し、データマイニングソリューション(bodais)を提供している。
今後ビッグデータの活用によって10兆円を超える付加価値創出、12~15兆円のコスト削減が期待できる。それに伴ってビッグデータアナリティクス市場規模は、2020年までに2012年の約3.5倍にまで成長すると予測されている。

このような環境において、IT部門のデータ活用に関して担う役割は大きく変わろうとしている。IT投資の目的が「ITコスト削減」から「売上増大への直接貢献」へと変化し、マーケティング戦略立案へのサポートが求められている。これを支えるデータサイエンティストは、「ビジネス」・「解析」・「IT」の3要素を担わなければならない。これを支援するソリューションがbodaisである。

bodaisを活用した事例としてクレジットカード会社様の事例を紹介した。クレジットカード会社様では、オプショナルサービスの加入促進を図っておられたが、bodaisを用いて約100の属性を解析し、従来法では見つけられなかった新たな加入確率が高い会員様を抽出することができたことで、加入促進を従来手法の130%以上に伸ばすことができた。成功要因は、CRISP-DM*の手順をしっかりと行って推進できたこと、ユーザ部門から積極的な協力が得られたことである。

* CRISP-DM(CRoss-Industry Standard Process for Data Mining)は、SPSS、NCR、ダイムラークライスラー、OHRAがメンバーとなるコンソーシアムにて開発されたデータマイニングのための方法論を規定したもの。業界横断的に展開可能なデータマイニングのプロセスモデル。

4. リクルートにおけるビッグデータ活用に向けた取り組みのご紹介

株式会社リクルートテクノロジーズ
ITソリューション統括部 ビッグデータ部 池田 英哲 様

リクルートのビジネスモデルはリボンモデルである。カスタマーである一般ユーザとクライアントであるサービス提供企業のマッチングを提供している。これは1960年のグループ創立依頼変わっていない。しかしその間、リクルートの展開しているサービスは、ファッション、グルメ、お稽古、旅行をはじめとして多岐に渡って増えている。以前はリクルートが提供するサービスごとにカスタマー(一般ユーザ)にユーザ登録してもらってきたが、今は「リクルートID」と呼ばれる共通会員IDでデータをつなげ、同じIDとパスワードで利用できるようになっている。

このリクルートIDの利用促進により、ビッグデータへの対応がより求められるようになり、それに伴い社内のデータ利用者も拡大している。そのため、ビッグデータへの対応と利用者の増加に合せて基盤は常に進化が求められている。その進化の一つがPUSH通知とビッグデータの基盤同士の連携である。PUSH通知は、カスタマーがスマートデバイスを起動していなくても通知を送ることができる仕組みで、メールと同様に重要な集客ツールである。

このようにビッグデータ活用が進んできたことに伴って、システム管理者は利用者からのDWHを中心とした統合データ基盤に対するデータ意味情報(メタデータ)の問合せに忙殺されるようになってきた。データ活用においてメタデータの整備が不十分であると意思決定上の事故(情報の誤認識や判断の遅れなど)が起きえるが、ビッグデータの活用が進むことでその発生リスクはより高まってきた。そこでココに来れば必要な情報がある状態を作り出し、利用者のデータ特定やシステム管理者の負荷を軽減させることを狙い、メタデータwebと呼ぶ環境を構築した。メタデータwebは、データ元DB・設計書・権限管理システムから、物理情報・論理情報・コード値・権限情報を日次で収集することで、すべてのメタデータを常に最新な状態で一元管理し、検索が容易で知見の収集・共有を実現するものである。また、メタデータwebは成長過程でもある。小気味よいリリースでファンを増やすことを狙い、利用者の要望機能を素早く提供することで、継続的に利用される仕組みを実現している。90日で200超のリリースを実施した。このような努力により、メタデータwebの利用状況は平日で500回/日以上、月間で10,000回に達し、年間50人月超の工数削減を達成した。

5. データ活用を活性化させるデータコンシェルジュという役割

株式会社データ総研
コンサルティンググループ シニアコンサルタント 伊藤 洋一

残念ながら、情報システム部門はユーザから本当に信頼されているとは言えない状況にある企業が多い。それは情報システム部門が考える「当り前の壁」の中に行動が閉じていることに原因がある。本当に信頼を得るためには、まず情報システム部門が「当り前の壁」超えて行動すべきである。それがデータコンシェルジュという役割である。

データコンシェルジュは、①業務改革の施策をユーザと一緒に考え、②施策を実データに基づいて検証し、③施策に合致するデータを探し、④継続的なデータ活用を可能にする質の良いデータ提供基盤を整備する機能を具備するものである。しかし単にこの機能をもてばよい訳ではない。これまで暗黙にあった「当たり前の壁」を打破した先の活動でなければならない。

これがすぐに実現できる訳ではないが、まずは恥を恐れず積極的にビジネスの悩みを聞き、はずれても提案する行動が必要である。ユーザはいかにしてビジネスの成果を上げるか常に悩んでいる。ユーザの情報要求が明らかになるよりもっと早く行って、ITが貢献できるか否かにかかわらず、ユーザの達成したい業務改革を一緒に考えるべきである。少しくらい的が外れても同じ社内の仲間なのだから、ユーザの悩みを多く知ることが必ず貢献につながる。それがユーザとの一体感を生んで、情報システム部門自身の活力につながる。

プログラム

ビッグデータやアナリティクスという言葉が示すように、企業のデータ活用の取り組みがますます盛んになって参りました。企業経営に貢献すべく、それらの活動一つ一つを支え、更なる発展を目指すためには、以下のような取組みが重要になります。

  • データを利活用することの意義を社内で共有し、活かせる体制づくり
  • データ分析結果を業務にどのように利活用すれば良いかの知識やノウハウづくり
  • データを利活用するための基盤づくり

本セミナーでは、上記に挙げた各社の取り組み事例と重要となるポイントについてご説明させていただきます。

12:30
受付開始
13:30
開会あいさつ

データ活用成功のポイント

株式会社データ総研 代表取締役会長 黒澤 基博

ビッグデータを含めた昨今のトレンド、データ活用における成功のポイント等をご説明します。「ビッグデータモデリング」「構造化/非構造化データの統合」「IT部門の新たな役割」など

13:45
ユーザー事例

お客さまの声(VOC)を活用した製品と業務改善の成果と活動について

株式会社ノーリツ 品質保証推進統括部 お客さま部 リーダー 谷口 康子 様

お客さまから頂く問い合わせやお褒めの言葉、ときにはお叱りの言葉も貴重な財産です。今回は「すべてはお客さまのために」というコンタクトセンタービジョン(方針)のもと、どのような製品や業務の改善ができたのか、どのような活動によって成果を生んだのかをご紹介します。

14:45
ユーザー事例

顧客分析事例から学ぶ、データ活用のPDCA -成果につながる!データの利活用

株式会社アイズファクトリー 専務取締役 COO 岩﨑 哲 様

カード会社様で実際に行った顧客分析事例をもとに、プロジェクトで得られた成果のご紹介と、データ活用を成果につなげるための、プロジェクト推進におけるポイントを解説いたします。また「データサイエンティスト」に求められるスキルを明らかにしたうえで、データの利活用に当たり、システム部門のご担当者様に今後求められる役割についてもお伝えいたします。

15:55
ユーザー事例

リクルートにおけるビッグデータ活用に向けた取り組みのご紹介

株式会社リクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 ビッグデータ部 池田 英哲 様

リクルートのビジネスモデルはプロダクトやサービスの送り手である企業と、受け手である生活者の間に立ち、さまざまな自社サービスを通して両者を結びつけ「まだ、ここにない、出会い」を提供しています。そこにはビッグデータの活用が不可欠であり、今回は、リクルートのビジネスモデルとそれを支えるビッグデータ活用基盤をご紹介いたします。また、基盤の整備だけではなく、ビッグデータ活用に向けて利用者にデータの意味情報(メタデータ)を公開し、暗黙知を形式知に変える活動についてもご紹介します。

16:45
まとめ

データ活用を活性化させるデータコンシェルジュという役割

株式会社データ総研 コンサルティンググループ シニアコンサルタント 伊藤 洋一

これまでのデータ活用は「経営企画部門やマーケティング部門などの業務部門からの施策に基づいて、必要なデータを収集・加工し、提供する」というのが一般的でした。ところが、データ活用が進んでいるネット業界では、業務部門と一緒に施策を考えるところから関わり、実データを用いて施策の検証を行い、価値あるデータを提供しています。本セッションでは、ネット業界を事例に「データコンシェルジュ」という新たな役割について解説します。

17:15
全体質疑応答

営業からのご案内、閉会あいさつ

17:45 終了

開催概要

名称 特別開催 データ活用事例セミナー
会期 2015年9月1日(火)13:30~17:45
定員 200名
価格 無料
会場 ベルサール神保町 アネックス

※本ページに掲載されている所属、役職等は開催当時のものとなります。