データ総研 特別開催セミナー2018
東京電力ホールディングス様、ぐるなび様、コニカミノルタ様に聞く
2018年11月14日(水)13:30~ アイビーホール青学会館3F
参加費:無料
2018年11月14日(水)に「悩んできたからこそわかる データマネジメントの実践に必要なコト」と題し、アイビーホール青学会館にて特別開催セミナーを開催致しました。データマネジメントに取り組み、壁にぶつかりながらも積極的に挑戦し続ける企業様に、生の声をご講演いただきました。本セミナーがご来場いただいた皆様にとって、益々のご発展の一助となれば幸いです。
顧客視点でのビジネス再編やAI・RPA・IoTの活用による新ビジネス創造などが注目されている。これらの背景には必ずデータが存在しており、ビジネスで勝利するためにはデータを活用し、戦略を立案し、業務を改善していくことが必須となっている。そのために必要なことは①資産としての適切なデータマネジメントと②データ知見をもった人財の2点である。
資産として管理するべきデータは意思決定や業務改善に必要なデータである。それは従来から管理している基幹系システムを中心とした結果データだけでなく、結果に至る途中経過や社外のデータも対象となる。これらのデータの意味を理解し、資産として管理するためのドキュメントがデータモデルである。
企業がデータを活用し創造的変革を実現するための前提条件として、いまデータマネジメントが求められている。
東京電力HDはデータ中心開発のパイオニア企業である。しかし度重なる震災の影響により、IT投資が抑制され、人財やスキルの空洞化が発生した。近年の電力全面自由化やHD制への移行時における大規模開発の際にその問題が顕著となった。また電力全面自由化や人口減少などにより、単なる「エネルギー会社」から「情報技術を持ったエネルギー会社」へ、ビジネスモデルの変化が求められていた。そのため①システム開発の生産性向上を目的とした「開発QCD改革」と②データで稼ぐためのデジタル化の一環として、「データ統合管理活動」を行った。
データ統合管理活動では、結果として目標としていたQCDは達成したものの、①データ中心型開発の仕組み作りが不十分、②開発けん引方法が不明、③開発スキルのあるメンバが不在などの問題も明らかとなった。そのためこれらの対策として、①開発ガイドラインの整備と役割分担の明確化、②人財育成のメニュー化、③支援体制の確立と支援のメニュー化を行い、データマネジメントフレームワークとして整備した。今後はHD全体の統制と、フレームワークに則ってデータマネジメントを実践する人財の育成に取り組んでいく。
ぐるなび社は「日本の食文化を守り育てる」の企業使命を果たすため、飲食店支援事業を中心にビジネスを行ってきた。しかし近年は、会員サービスや旅行業など、様々な領域へ事業を拡大しており、それに伴って社内の業務・サービス・データの関係性が複雑化している。それにより調査工数の増大、担当外の業務や関係者の把握が難しいなどの課題がある。
これらの課題を解決するためのプロジェクトはスモールスタートで開始した。プロジェクトでは概念データモデルの作成を通して①データ整備状況の可視化と、②ビジネスのあるべき姿と現状システムのギャップの抽出を行った。またプロジェクトと並行して、③社内にデータガバナンスの必要性を浸透させるための活動を行った。
結果、概念データモデルを使った課題の抽出は成功し、今後進むべき道を見つけることができた。それだけでなく自社内の用語の不統一が深刻であること、部門間で業務が共有されていないことに気づくことができた。
業務・サービス・データの関係性を整理し業務の効率化を図るために、部門をまたいで用語を整備し、業務を可視化し、その結果を社内で共有することは非常に重要である。
コニカミノルタ社ではFDASというデータ収集・分析システムを全社規模で利用している。このシステムは10年来の運用により属人化とデータ管理に問題を抱えていた。これらを解決するために様々な施策を実施した結果、手作業の90%以上を自動化することに成功した。
しかしそれらの施策の中で「これらの対応が本当に最適か?不足している対応はないのか?」という疑問には答えが出なかった。そのため外部であるデータ総研を体制に加え、データマネジメントの視点で網羅性の確認を行った。その結果、情報資源の複雑さと冗長性の問題が新たに見つかった。
属人化排除とデータ管理のために重要なことは①複雑化した情報資源をシンプル化(最適化)させることと、②実現するためのテンプレートや運用フローを定義する、すなわち「仕組み」を作ることである。今後はこの取り組みで得たデータモデリングや運用に関する取り決めを別システムへ水平展開することで、ガバナンスのきいた「仕組み」作りができると考えている。
各セッションが示唆するように、初めから重厚長大なデータマネジメントを目指しては成功が難しくなる。小さく始めて、大きく育てることが何よりも肝要である。データマネジメントとは一度始めたら、半永久的に続けていく活動となる。そのためデータマネジメント活動の定着に向けては、①データマネジメントを企業の文化として根付かせることと、②「やらされ組織」から「みずからやる組織」への変革させることが不可欠である。
現在のように、データマネジメントが一般化してきた背景を考察すると、各企業が、これまでデータとして管理できなかった外部データや非定型データを管理し、それらを活用することで新たなビジネス機会を生み出すこと、すなわちデータ駆動型経営へのシフトが求められていることが挙げられる。
データ駆動型経営を行うにあたっては、データをコストではなく、プロフィットを生み出す資産として管理・改善する必要がある。そのためには様々な種類・抽象度のデータを可視化し、ステークホルダー間で共有できるデータマネジメント人財の育成が不可欠である。
近年は企業のデータマネジメントへの取り組みが一般的になってきました。
競争優位獲得のためにデータ活用を推進してみたものの、上手くいかなかった企業が「データマネジメント無くして、データ活用の成功は無し」と気付いたからです。
本セミナーでは、データマネジメントに取り組み、壁にぶつかりながらも積極的に挑戦し続ける企業様にご講演いただきます。ぜひご参加いただき、データマネジメント成功のヒントをつかんでいただければ幸いです。
13:00 開場 |
会場:アイビーホール青学会館3F ナルド |
13:30 session1 |
いま求められるデータマネジメント 株式会社データ総研 堀越 雅朗 データマネジメントに真剣に取り組む企業が増えています。それはなぜでしょうか。データマネジメントが求められる背景とその重要性についてお話します。 |
13:55 session2 |
東京電力HDにおけるデータマネジメント実践と課題 東京電力ホールディングス株式会社 菱川 正夫 様 東京電力は早期からデータ中心型開発を導入していましたが、IT投資の抑制期間が長期にわたり、経験の機会を喪失、スキル・人財空洞化が生じました。そのような中、近年大規模プロジェクトが複数立ち上がり、いくつかのプロジェクトで問題が発生しました。システム部門では開発QCD改革を掲げ、施策の一つとしてデータ中心型開発を柱とするデータマネジメント方針を策定しました。本講演ではその取り組みと課題について紹介します。 |
14:40 session3 |
データガバナンス実現に向けたビジネスとデータの可視化の取り組み 株式会社ぐるなび 相馬 誠一 様 すでに推進中のデータディクショナリツール導入、テーブル定義などの物理情報管理に加え、データ整備状況を可視化した事例を発表します。業務設計、データ設計における問題について社内共有できる環境を目指し、データ改善計画の策定につなげるための取り組みを紹介します。 |
15:25 | 休憩 |
15:45 session4 |
データ分析環境管理の属人化排除に向けたデータマネージメントの取組み コニカミノルタ株式会社 川合 彰 様 弊社では、世界各国に設置された弊社MFP(複写機)製品と販社サービス活動に関するデータを集約し、様々な角度から分析を行うシステムを構築し活用をしています。 |
16:30 session5 |
データマネジメント実践に必要なコト 株式会社データ総研 小川 康二 「データマネジメント」とは、データに対する「企業の文化」にあたります。「マネジメント」である以上、データの配置/整備計画から実践、監視、改善活動という一連のプロセスを実践することが肝要となります。 |
17:30 情報交換会 |
会場:アイビーホール青学会館3F アロン |
名称 | データ総研 特別開催セミナー2018 悩んできたからこそわかるデータマネジメントの実践に必要なコト |
会期 | 2018年11月14日(水)13:30 |
会場 | アイビーホール青学会館 |
※本ページに掲載されている所属、役職等は開催当時のものとなります。