弊社では定期的に『データモデリングの基礎・演習コース』を開催していますが、ここ半年くらいは、それとは別に、オンサイト教育の依頼が増えてきています。「自社内にデータモデリングができる人材を育てたい」という企業が増えてきた…ということでしょうか。データモデリングブーム再燃の兆しでは、と少しワクワクしています。
奇しくも、今年度のメルマガでは”図面言語教育のススメ”や”データモデリングの逆襲”といったデータモデリング関連のコンテンツを発信してきましたので、その流れを踏襲し今回はデータモデリングの概要とその主たる用途について書いてみます。
一般的に、データモデリングの視点は「概念・論理・物理」の3つに大別されますが、その中でも弊社が扱っているのは概念データモデリングです。概念データモデリングでは、実装環境に関係なく、業務上の「もの」や「こと」を忠実にデータ構造として表現します。
もう少し具体的に言えば、ある業務領域にて・どのような対象(もの・こと・ルール)が管理されているか
・それらの対象については、どのような性質が管理されているか
・対象間にどのような関係があるのか
を図(モデル)として表現します。また、その図を概念データモデルと呼びます。
概念データモデルの代表的な用途は、システム構築における現状業務分析、新規業務設計のフェーズでのユーザとのコミュニケーションツールです。業務上のある「概念」に対して、関係者個々人が持っている理解の差を明らかにした上で、その差を埋めながら正しく位置づけるために使う道具だと言えます。大きなメリットは、概念データモデリングを通じて、システム担当者が対象業務のことを深く知ることができる点でしょう。ユーザとシステム担当者間で業務に対する共通理解を形成することが、システム構築においては非常に重要だからです。
もう1つの代表的な用途は、論理(もしくは物理)データベース設計のインプットです。実装環境を意識して行う論理データモデリングは、アクセス要件やパフォーマンス要件等を考慮して進めますが、そのインプットは業務を正しく写像した「概念データモデル」であるべきと考えます。そのメリットは…というより、それ以外に何をインプットにすべきでしょうか。それを使わないのなら、なぜ概念データモデリングをしたの?と問いたくなりますよね。
とはいえ、残念な実話ですが、弊社が概念データモデルを作成した後、後工程を請け負ったITベンダがそれをインプットとせずに論理(もしくは物理)データベース設計を行った、という話を何度か耳にしたこともあります。自社内にデータモデリング人材がいなかった企業では、それを止めることができなかったのでしょう。その時に悔しい思いをした企業が、ここにきて「自社内にデータモデリングができる人材を育てたい」と思い始めたのではと感じます。
データ活用真っ盛りの現在だからこそ、データマネジメント人材も脚光を浴び始めています。そんな中、データマネジメントに造詣が深い一部の企業はすでに気付いています。データマネジメントの実践において、本当に重要な基礎力の1つがデータモデリング力だということに。いまこそデータモデリング人材の育成に取り組んでみてはいかがでしょうか?
参考
データモデリングの教育に関するページはこちらです。
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