2009年4月に国際的なデータ専門家組織であるDAMA Internationalにより「DMBOK」が世に出て早5年以上が経ちました。日本国内でみても、弊社が翻訳を終えて日本語版を世に出したのが2010年4月ですから、5年以上が経過したことになります。この5年で、少しずつですが、データマネジメントの重要性が世に浸透してきていると感じます。
ただ、世間のデータに関するトレンドは“ビッグデータ”や“データサイエンス”等の単語に代表されるように、データの分析・活用に大きな注目が集まっています。専門誌はもちろん、一般メディアで取り上げられる回数が圧倒的に違うと思いませんか?例えば、テレビ番組において“ビッグデータ”という単語を耳にする機会は少なくないと感じますが、“データマネジメント”という単語は聞いたことがありません。講演やセミナーの数も圧倒的に違いますし、メルマガにも“活用”の文字が踊ります。
データマネジメントがトレンドになりきれない理由について、筆者の考えを一文で表現すると、以下のようになります。
『データ分析・活用は花形、データマネジメントは裏方』
膨大なデータを独自の視点で分析し、誰も知らないインサイトを見つけ出し、グラフやチャートを駆使しつつ、経営層へズバッと提言。更には、それがきっかけで業績が大幅に向上…なんて出来たらカッコイイですよね。“データサイエンティスト”と呼ばれる人達は、時代が求める人材像の1つですし、これを花形と言わず何と言う!ってなものです。
それに引き替え、データマネジメントの仕事は地味です。データを適正に運用管理するための規約作り、アーキテクチャ設計、セキュリティ基盤の構築、品質チェックなど多岐に渡りますが、あまり目立ちません。メディアが取り上げにくい題材ではないと思いますが、食い付く人が少ないのでしょう。はっきり言って裏方仕事です。新3Kと言われIT業界離れが進むように、近いうちにデータマネジメントも嫌いな仕事に挙げられてしまうかもしれません。
データマネジメントを更に普及するには、その重要性を訴えるだけでは足りません。魅力的な「カッコイイ裏方」に仕立て上げなければなりません。簡単な事ではありませんが、そのヒントはシステムインテグレーションの世界にあると考えます。
『システム開発は花形、システム運用は裏方』
SI業界では今も昔もよく言われる言葉です。ただ、これまでシステム運用の世界では、システム運用を魅力的な仕事にするために多くの人が知恵を絞ってきています。システム運用のベストプラクティスをデータマネジメントに当てはめてみる価値は十分にあるはずです。私は、ここにデータマネジメントを“憧れの仕事”にするためのヒントが隠されている気がしています。皆様も仕事の合間にでも少し考えを巡らせてみてはいかがでしょうか。