データ総研では、ほぼ隔週で「データマネジメントweb談義」を開催しています。データ総研コンサルティンググループ統括マネージャーである小川と、シニアコンサルタントマネージャー伊藤の2人で、データマネジメントに関する様々なトピックについて語り合っています。
本記事では第1回「DX実現にはなぜデータマネジメントが必須なのか」の内容について紹介いたします。
記事の最後には、アーカイブのYouTube動画もあります。ぜひチェックしてみてください。
DXとは?
最近、大きなバズワードとなっているDX(デジタルトランスフォーメーション)。経済産業省がDXレポートを出したことがきっかけで大きな話題となりました。しかし、実際のところ「DX」という言葉だけが先行しており、「あまり意味がよくわかっていない…」という方も多いのではないでしょうか。
では、DXについてどのように理解すればいいのでしょうか。Web談義の中では、
「消費者と接点をもってサービスを提供するための仕組みを作ること」ことがDXの本質であると語っています。
背景には、企業間の競争の激化があります。競争が激しくないときは、「企業→消費者」という一方通行的な関係でも生き残ることが可能でした。企業は良い商品を開発し、消費者はそれを購入する、という関係です。しかし、今は市場に良い商品があふれてしまっており、単純に良い商品を作るだけでは生き残ることが難しくなりました。
これからは消費者の行動をつぶさに観察しながら興味・関心を捕まえ、消費者が望む「体験」を作っていく必要があります。「体験」というのがポイントです。単なる商品改良にとどまらず、企業と消費者との接点全体で「楽しさ」「気持ちよさ」を生みだし、他社と差別化する必要が出てきたのです。
注意したいのは、DXは単なる「デジタル化」とは違うことです。世間ではよく、RPA等の導入で業務を効率化することをDXと表現しますが、それは「デジタルオプティマイゼーション」と呼ばれるものであり本来のDXとは異なります。DXは、消費者視点で本質的にサービスを変革していくものであり、消費者の興味・関心を取り込んでサービスを変えられるような仕組みを作り上げることが重要になってきます。
ちなみに、DXと結び付けて語られることが多いのがビッグデータです。DXにおいては、消費者の情報が非常に重要です。近年では、個人と世の中との接点がデジタル化され、消費者の行動が(膨大な量の)データとして蓄積されるようになりました。それらビッグデータをうまく収集・活用することで、消費者の興味・関心を捉え顧客体験を創出することに役立てることができます。
SoRとSoE
DXを理解するときに必要な考え方が「SoR」と「SoE」です。
SoRとは“System of Record(記録のシステム)”の略であり、業務のオペレーションを回すために使われるシステムです。オペレーションに必要なデータ(受注データ、出荷データなど)を記録しており、従業員がそのデータを見て作業を行います。
一方SoEとは”System of Engagement(つながりのシステム)”の略であり、消費者とのやりとり(接点)を管理するシステムです。消費者がどういう行動を行ったのか、またそれに対し自社がどのように返答したのかが管理されています。SoRは完全に社内で使うためのシステムですが、SoEは消費者の視点で作られています。
DX推進に必要なデータマネジメント
SoE、SoRを統合して企業活動に役立てることで、消費者体験の向上が期待できます。例えば、SoEで得た情報をもとに生産指示を行う、SoEで動きを見ている消費者が自社と過去にどういう取引を行っているかを調べ適切なアプローチをとる、等のことができるようになります。
しかし、DX推進のための大きな障害がSoEのサイロ化です。消費者とのつながりを管理しておくためのSoEが、事業やサービスごとに作成されてしまうことで、事業やサービスを横断して消費者の情報を統合することが難しくなっています。特に大きな企業であればあるほど、事業ごとにマーケティングを行う傾向が強いため、サイロ化が進みやすくなります。
この統合に役立つのがデータHUBです。データHUBは、各SoE、SoRの間に入り、データを集配信することで、データを統合して利用することを可能にします。また、各システムの間にデータHUBを挟む構成にすることで、ただ単にデータを統合するだけでなく、各システムの間を疎結合に保つことが可能になります。SoEは、変化のスピードがSoRの世界と比べて速く、使われるシステムがどんどん切り替わっていきます。データHUBを使えば、SoEの変化に素早く対応することが可能になります。
データマネジメントWeb談義のアーカイブ
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