DRIブログ

データマネジメントとは何か

データマネジメント
Businesswoman with financial symbols coming from her hand

データマネジメントとは何か、何を対象にどんな活動をするのか解説

企業活動では、日々多くのデータが発生し、使用されています。取引先から受注があった際、取引先の名前や連絡先を聞くことになります。これらはそのまま取引先のデータとして、後続業務に使用されます。また、商品が売れれば売上データが発生します。集計された売上データをもとに、企業は経営判断を行うことになります。

企業活動においては、正しいデータを、使いたいタイミングで使えることが必要不可欠です。そうでなければ、業務を遂行する上でも、経営判断をする際にも不都合が生まれます。

これらのデータを登録、利用していくためには、データマネジメントを行うことが重要になってきます。今回は、このデータマネジメントとは何か、何を対象としてどんな活動を行うのかを簡単に解説します。

データマネジメントとは

データマネジメントとは、文字通り、データを管理することです。

ただし、ひとくちに「管理」といってもその内容は幅広いです。主要な業務としては、データを登録・更新・活用することが挙げられます。加えて、それらの業務を遂行するために必要な様々な活動も含まれます。例えば、

  • データを蓄積しておく仕組みの構築や維持
  • データ構造の可視化
  • データの意味管理
  • 責任体制の確立

なども、データマネジメントです。

データマネジメントの対象

データマネジメントの対象となるのは、データです。データには「ビジネスデータ」と「メタデータ」の2つがあり、「ビジネスデータ」はさらに細かく分割できます。

No

データ

内容

1

ビジネスデータ

一般の業務で使うデータ

 

構造化データ

関係データベース(RDB)に格納できるような構造をもっているデータ

 

リソースデータ

企業や組織が所有する資源を表すデータ

(例:社員データ、顧客データ、商品データなど)

イベントデータ

業務遂行における出来事を表すデータ

(例:販売データなど)

集計系データ

出来事の結果を集計・分析するデータ

(例:販売実績データなど)

非構造化データ

一般の書類に記述されている文章・ブログなどのテキスト・音声・画像・動画・機械やセンサーが作り出すデータなど
RDB
に格納することが困難。

2

メタデータ

データの意味や桁・型などを表すデータ

表1.データマネジメントの対象

データマネジメントの活動

データマネジメントの活動は、簡単にまとめると以下のようになります。

No

活動

1

戦略策定・計画(データアーキテクチャ)

2

データの設計

3

データを蓄積する仕組みの構築・維持

4

データの利用(データ品質の向上、セキュリティ管理も含む)

表2.データマネジメントの活動

 

これらの活動は、構造化データ、非構造データ、メタデータなどデータの種類が変わっても同じになります。ただし、活動自体は同じでも、やり方はデータの種類に応じて異なります。

また、これらの活動とは別に、データマネジメントの活動を正しく進めるためのガバナンス活動も必要です。ガバナンス活動とは、データマネジメントに関わる立法・行政・司法の活動を意味します。すなわち、守るべきルールを決め、ルールに従って活動し、必要に応じてルール違反を取り締まります。

DMBOK2におけるデータマネジメント

データマネジメントについて語る上で外せないのが、DMBOKです。DMBOKは”Data Management Body of Knowledge”の略で、データマネジメントに関する知識を体系立ててまとめた書籍です。DAMA International(国際データマネジメント協会)が提供しており、第二版まで発行されています。『データマネジメント知識体系ガイド 第二版』として、日本語版も出ています。(以後、DMBOK第二版のことを『DMBOK2』と表記します。)DMBOK2は、データマネジメント実務者にとってバイブルのような存在といえます。

(DMBOKについては、こちらの記事でもまとめております。
データマネジメントの知識体系"DMBOK"とは?どう役立つのか?』)

 

DMBOK2では、データマネジメントを次のように定義しています。

データとインフォメーションという資産の価値を提供し、管理し、守り、高めるために、それらのライフサイクルを通して計画、方針、スケジュール、手順などを開発、実施、監督することである。

--『データマネジメント知識体系ガイド 第二版』DAMA International編著、DAMA日本支部・Metafindコンサルティング株式会社訳、日経BP社、2018

上の定義からもわかる通り、企業にとってデータ(とインフォメーション)は「資産」です。社内のどこに、どんなデータがあるのかを把握しておくことが重要になります。

データマネジメント知識領域

DMBOK2では、DAMAホイール図を用いて、データマネジメント知識領域を定義しています。データマネジメント知識領域は、広範なデータマネジメントの概念を11個の領域に分解し、理解しやすくしてくれます。

DAMAホイール図 (出典:DAMA日本支部)

DAMAホイール図 (出典:DAMA日本支部)

 

ただし、DAMAホイール図からは分かりにくいのですが、各知識領域がカバーする範囲にはダブりがあるので注意が必要です。例えば、マスターデータに関するデータガバナンスは、「データガバナンス」と「参照データとマスターデータ」の知識領域のどちらにも関係します。

表3に、各知識領域の内容を簡単にまとめています。

No

知識領域

内容

1

データガバナンス

データマネジメントを統制するための活動

2

データアーキテクチャ

戦略策定・計画

3

データモデリングとデザイン

データを蓄積する仕組みの構築

4

データストレージとオペレーション

データを蓄積する仕組みの維持

5

データセキュリティ

データセキュリティ管理

6

データ統合と相互運用性

各種データを統合するための基盤

7

ドキュメントとコンテンツ管理

非構造化データ

8

参照データとマスターデータ

リソースデータ

9

データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス

集計系データ

10

メタデータ管理

メタデータ

11

データ品質

データ品質の向上

表3.データマネジメント知識領域

 

また、これら11個の知識領域だけでなく、表4に書いた5つのトピックについてもDMBOK2では解説しています。

No

タイトル

内容

1

データ取扱倫理

データに関する倫理規定

2

ビッグデータとデータサイエンス

ビッグデータの分析、利用

3

データマネジメント成熟度アセスメント

データマネジメントの評価尺度、評価

4

データマネジメント組織と役割期待

データマネジメントの組織構成やその役割

5

データマネジメント組織の変革

組織や文化の変更管理

4.DMBOK2で知識領域のほかに取り上げられている5つのトピック

 

ちなみにDRIでは、データマネジメントの各知識領域、トピックについて「3分間でわかるデータマネジメント」シリーズで記事を書いています。
データマネジメントを新しく学ぶ人向けに、各領域・トピックに該当するような活動についてどのように理解すればいいのか、どんな意義があるのかなどを分かりやすいように解説しています。興味がありましたら、是非ご一読ください。
(以下に出てない知識領域・トピックに関しては現在準備中です。)

3分でわかるデータマネジメント【データガバナンス】
3分でわかるデータマネジメント【データアーキテクチャ】
3分でわかるデータマネジメント【データモデリング】
3分でわかるデータマネジメント【データストレージとオペレーション】
3分でわかるデータマネジメント【データ統合と相互運用性】
3分でわかるデータマネジメント【参照データ/マスターデータ管理】
3分でわかるデータマネジメント【メタデータ管理】
3分でわかるデータマネジメント【データ取扱倫理】

おわりに ~データマネジメントの人材育成~

データマネジメントの「対象」や「活動」について簡単に説明しました。これからデータマネジメントに取り組んでみよう、進めていこうと考えている方のきっかけになれば幸いです。
弊社では、データマネジメントが求められる背景・必要性を理解し、実践していただくための人材を育成する教育コースを用意しています。ぜひチェックしてください!

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